社員が昇進を拒否するのには、主に次の理由が挙げられます。
管理職として部下を持った場合、本来の仕事だけではなく、部下の仕事に対しても責任を負うことになります。特に成果主義の人事評価制度のもとでは、他人の仕事にまで責任を持ちたくないと考える社員もいるでしょう。
企業によっては、自分の業務に加え、管理職としての業務が上乗せされることで仕事量が増加します。特に働き方改革が進んでいる企業ほど、課長などの中間管理職の業務負担が増加する傾向があります(図表1)。
しかも負担が増す業務の内容も、部下の育成や管理職自身のスキルアップといった「付加価値を生む仕事」とは限らず、働き方改革による長時間労働の抑制を受け、部下の労働時間を減らした分、管理職が部下の仕事を行うケースも増えています。
ほとんどの企業では管理職に対して役職手当が支給されますが、その額が低かったり、管理職に残業代を支給しない企業では、役職手当の額よりも、それまでもらっていた残業代のほうが多いケースがあります。一般社員だったときよりも給与が減るという、逆転現象が起こり得ます。
若手社員を中心に、以前のように、「プライベートな時間を犠牲にして仕事をする」といったライフスタイルが好まれなくなっています。
本人の健康面での不安や家庭内の事情(育児・介護など)により、昇進を断ることがあります。特に昇進する際、現在の住所から遠隔地への転勤を伴う場合には、拒否される割合が多くなります。
これら以外にも、「今の仕事が好きだから」「管理職になるよりも社外でも通用する専門スキルを習得したいから」などの理由で管理職への昇進を拒否するケースもあります。
このように社員が昇進を拒否する理由はさまざまですが、根本的な原因として、管理職に就くことのプラス面とマイナス面を考慮した場合、管理職になるメリットを感じられないケースが増えていることも大きいでしょう。
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