「ABEMA」がサッカー英プレミアリーグの放映権を獲得できたワケDAZNは窮地に?(2/3 ページ)

» 2022年07月23日 06時30分 公開
[樋口隆充ITmedia]

SPOTV NOW「ABEMAはビジネスパートナーとして最適」

 ただ、韓国発のため、同サービスや運営元の日本国内での知名度は決して高いとはいえない。日本でのビジネス拡大に向け、同社はABEMAに目を付け、「サブライセンス」として保有するMLB放映権の一部を売却。21年には公式戦166試合、今季は324試合の完全生中継が決定した。大谷選手の出場試合などがABEMAで無料視聴できるのは、こうした経緯からだった。

photo ABEMAではMLBの試合を配信している

 「ABEMAは顧客基盤が強固で、コンテンツパワーもある。ビジネスパートナーとして最適だった」。同社の広報担当者はこう語る。同社が広告主となり、ABEMAでの配信中にSPOTV NOWの告知も行い、自社サービスへの誘導にもつなげるなど、2社は良好な関係を築いているという。

 そうした2社の関係性から、MLB同様、EPLの放映権の一部売却案が浮上。CAは3月、サッカーワールドカップ(W杯)の全試合生中継を発表している。

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 通常、W杯は4年に1度、欧州主要リーグのシーズン終了後の6月〜7月に開催するのが慣例だったが、カタール大会は酷暑を避けるためとして、大会史上初の冬開催となり、11月下旬に開幕する。このため、欧州各国はリーグ戦を一度中断するという異例のシーズンとなる。

 だが、これもABEMAにとっては好都合だった。日本代表の主力選手でもある冨安選手や三笘選手の試合を8月から配信することで、サッカーファンを中心としたユーザー増加が見込まれ、W杯開幕への起爆剤になるためだ。

 SPOTV NOW側は「契約金額などの詳細は非公開」としているが、交渉が円滑に進んだことを示唆。「ABEMAとの協業を通じて、引き続き日本市場でのビジネス拡大を図りたい」としている。

 SPOTV NOWはまた、英スコットランドのサッカーリーグ「スコティッシュ・プレミアシップ」の放映権の一部も取得したと7月15日に発表している。同リーグのセルティックには古橋享悟選手や前田大然選手、旗手怜央選手、井手口陽介選手の4人の日本人選手もプレーしており、EPLとの相乗効果による、ユーザー増が期待されている。

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