主要企業ごとの売り上げ、店舗数の動向についても19年度と21年度を比較して、図表にしているので、見ていただきたい(図表2)。基本的に業態別と似たような結果となっており、厳しい業態を軸としている企業が売り上げ、店舗数を落としている傾向は変わらない。
19年比増収となっているのは、ファストフードの代表格日本マクドナルドとモスフードサービス、すき家やはま寿司を含む多業態展開のゼンショー、焼肉部門が好調の物語コーポレーション、回転寿司の2強スシロー、くら寿司、となるが、このあたりは納得であろう。
それ以外でコロナに対する耐性が強かったのは、(1)多業態展開、(2)都市部より郊外に多い、(3)商業施設内展開より単独店舗が多いといった要素を持つ企業だろう。
例えば、(1)多業態展開に助けられたのが、コロワイドであり、居酒屋業態中心ながらも回転寿司なども保有していたため、居酒屋他社より軽微な減収で済んでいる。
(2)都市部より郊外という意味では、都市部の吉野家は3割減収、郊外中心のゼンショー(すき家)は増収と対比できる。
(3)商業施設内展開が要因で3割弱減収となったのはリンガーハット。近年、郊外店から商業施設内、フードコート中心の展開に転換していたため、大型商業施設の休業により大きなダメージを受けた。麺類でも郊外中心のトリドール(丸亀製麺)の減収はわずかにとどまる。
ただ、アフターコロナとなれば、一過性のコロナへの耐性はあまり関係なく、コロナの前と後で競争環境がどう変わったかということがポイントとなる。
コロナの減収ダメージは業態によって大きく異なるというのは前述の通りであり、ダメージの大きい業態ほど、店舗スクラップが進行するため、コロナ終息後の競争環境は緩和する。ということは、大きな減収に耐えて店舗網を保っている企業ほど、アフターコロナにスタートダッシュができるといえる。
企業別の表をみると、減収なのに店舗数を増やしている、サイゼリヤ、日本ケンタッキーフライドチキン、松屋フーズ(松屋)、ハイディ日高(日高屋)などの企業は、アフターコロナのV字増収の可能性がある、という解釈だ。他にも、居酒屋業界にあって厳しい経営環境に追い込まれながら、店舗数をわずかしか減らしていない鳥貴族にも注目したい。
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