アフターコロナには、外食需要は必ず相応に戻ってくる。その時、需要を取り込んで再び成長していくための最大の課題は「人材の確保」になるだろう。人材は、外食業界の昔からの悩みであって、さまざまな業界の中でも外食は最も人材の定着率が低い業界の一つであることで知られている。加えて、日本の労働力不足はこれから本格化することが分かっている(図表3)。
これまでも日本の生産年齢(15〜64歳)人口は減少が続いてきたが、実は日本の就業人口自体は減ってはいなかった。65歳以上の高齢就業者と女性就業者が増えていたため(就業率が上がった)、減らずに済んでいたのだ(図表4〜5)。しかし、生産年齢人口の減少が進んで未就業者が少なくなりつつあることから、人手不足はこれから本格化するのである。
就職先としては不人気な外食業界にとっては、今後、人材確保ができるか否かが、企業の存続に関わる大きな課題となるのである。
外食企業の多くがパート・アルバイトの時給アップ、正社員の給与改善などの対応を進めており、業界の給与水準も少しずつ改善する兆しは見えている。
しかし、外食産業、特にチェーン店の就業者にとって、定着率が低い最大の要因は、仕事を続けていてもスキルアップ、キャリアアップする要素がないことではないだろうか。
外食業界でも職人の世界を目指す人たちは、いつか自分の店をオープンさせる、経営者になる、などの夢を持っているから、転職をしつつも業界にとどまってキャリアアップしていく。業界で通用するキャリアを得られないのであれば、一つのチェーン店に居続けるインセンティブはない。
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