コロナ禍ならでは? Zoffの「薄色レンズ」サングラス、販売好調の理由(2/3 ページ)

» 2022年08月11日 06時30分 公開
[樋口隆充ITmedia]

“脇役”だったライトカラー コロナ禍の販売不振が転機に

 同社は現在、「サングラスの定番色」(同社広報)という「グレー」「ブラウン」に加え、「カーキー」「ブルー」の計4色を中心にライトカラーを提供している。こうしたライトカラーのサングラスはコロナ前は「商品として存在はしていたが、主力商品ではなかった。やはり濃いレンズが好まれ、よく売れていた」。同社広報はこう振り返る。

 だが、コロナ禍で状況が一変した。夏は紫外線量が1年で最も多く、サングラス販売数も伸びる時期だが、過去2年は移動制限や外出制限などによって観光業が低迷。広報によると「リゾート地など観光地での使用イメージが強いサングラスは、使用先を決めてから購入するユーザーが多い」といい、同社のサングラス販売もその影響を受け、不振に陥った。

photo 海でサングラスを着用する女性(提供:ゲッティイメージズ)

 「具体的な数値は開示できないが、過去2年のサングラス販売数は過去最低レベルにまで落ち込んでいた」(同社広報)

サングラス販売不振、「ブルーライトカット」でカバー

 サングラスの販売が低迷する中、売り上げをカバーしたのが「ブルーライトカット」メガネだ。新型コロナ対策で在宅勤務を導入する企業の増加とともに、外出機会が減り、化粧品やコンタクトレンズの消費が減少したのに対し、自宅でのPC作業が増えたためだ。

photo PCで作業するメガネを着用した女性(提供:ゲッティイメージズ)

 化粧品やコンタクトレンズの消費低迷は各統計でも明らかになっている。経済産業省の「コロナ禍における国内の化粧品出荷の動向」によると、マスク着用で口元が隠れることから、化粧品のうち、口紅の出荷数は2017年の指数を「100」とした場合、20年5月は約20となったという。

photo 口紅の出荷指数が低迷

 また、日本コンタクトレンズ協会が20年9月に発表した調査では、全国15〜59歳の2200人への調査の結果、緊急事態宣言前後でコンタクトレンズの使用時間が減少したことも判明している。自宅ではコンタクトレンズではなく、裸眼か、メガネを使用するユーザーが多いためとみられる。

photo メガネの使用頻度が減少した(出典:日本コンタクトレンズ協会の調査)

 他方、PC使用時間の増加に伴い、端末画面からブルーライトを浴びる時間も相対的に増える。ブルーライトによって、睡眠のリズムに影響を与えることが分かったとして、同社はコロナ禍の初期に、美容脱毛サロン「ミュゼプラチナム」の女性社員などビジネスパーソンにブルーライトカットレンズを無償提供する取り組みを実施。ブルーライトカット製品の普及促進とともに、相乗効果による売り上げ増加でサングラスの販売不振分をカバーした。

photo ミュゼプラチナムの女性社員に無償提供したブルーライトカットメガネ

 同社では現在も、メガネの購入時に選択したレンズをブルーライトカット加工するサービスを追加料金なしで提供している。

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