金沢の人気ラーメン「神仙」が東京駅に進出 廃業寸前から10店舗まで拡大した「起死回生の一手」東京ラーメンストリートの舞台裏(4/6 ページ)

» 2022年08月27日 05時00分 公開
[河嶌太郎ITmedia]

から揚げ専門店を手掛けた理由

――今ではラーメン店だけで7店舗。から揚げ専門店も5店舗を経営していますね。なぜ、から揚げ専門店も手掛けているのでしょうか。

 これはコロナ禍になって始めたんです。から揚げのテークアウト需要が増大したことによって始めた取り組みではあるんですが、実は一番の狙いは従業員の福利厚生目的でもあるんです。

――から揚げが福利厚生になるんですか?

 ラーメン店は、ものすごく重労働で、50代になると身体を壊してしまったり、肉体的に限界を迎えてしまったりする人も少なくないんです。

 当社は社員だけで20人以上いるんですが、「肉体的に無理なのでやめます」という会社にはしたくなかったんです。それでこういったシニア社員でも活躍できる場を作りたくて、から揚げ事業を始めた狙いもあるんです。

――から揚げ店だと従業員の肉体的負担も少ないというわけですね。

 ラーメンに比べたら全然負担が少ないですね。そこが本当の目的なんですよ。

――負担が少ない事業の中で、なぜから揚げにしたのでしょうか。

 単純にから揚げが好きだからというのもあるのですが、実は当社ではもともと、ラーメン店全店舗でから揚げを出していて、それがお客さんにも好評だったんですよね。特にコロナになってから揚げだけを買って帰る方も多く、それがお店の売り上げの支えにもなりました。

 それでから揚げだけの専門店を独立させる形を取ったわけです。

――ラーメン店ではから揚げ以外には何を出しているんですか。

 チャーハンや餃子もやっています。最初はラーメンしか出していなかったんですが、中央卸売市場って家族連れで訪れるお客さんも多いんですよね。それで、お客さんからいろいろな要望を聞いていったら、ラーメン以外のメニューも増えていきました。お昼時はラーメン単品ではなく、ランチセットで召し上がるお客さんも少なくありません。

――コロナによる影響はどうでしたか。

 金沢は観光地でもありますから、観光客の激減による影響は確かにありました。観光客が多かった時は観光客が多くお店に並んでいたのですが、それが少なくなったことで、地元のお客さんが食べやすくなって戻ってきた動きもありました。最後は地元に支えられているんだなと思いましたね。あらためて地域の方に支えられているんだと実感できた2年間でした。

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