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プロダンスリーグ「D.LEAGUE」を生み出したフルキャスト創業者 忘れられない“3つの決断”会社を大きくするということ(3/6 ページ)

» 2022年09月05日 05時00分 公開
[武田信晃ITmedia]

フルキャストの創業経験が武器に

――収益はどの程度あるのですか?

 数字は明かせませんが、最も大きいのはスポンサー収入で、これが半分強を占めます。各チームの年会費、入場料収入、Tシャツなどのグッズ販売、ファンクラブからの売り上げがあります。まだ大きくはないですが放映権料もあります。

――黒字化は実現したのですか?

 まだ2期目ですから、トントンという感じですね。3期目は黒字化していけると思っています。

――私もそうですが、一度、実際に見てみると面白さが分かりますね。このタッチポイントをどう増やしていくのですか?

 例えば、ラグビーのリーグワン決勝戦の入場シーンでDリーガーのパフォーマンスを活用してもらいました。4万〜5万人の観客にDリーグの存在を告知できたことは大きいです。

 横浜で開かれている「ハマフェス」の中で、3チームほどパフォーマンスをしました。

 バスケットボールのBリーグでも定期的に踊っていますので、マスに刺さるイベントやスポーツとは親和性があると思っています。スポーツを観に来られる方は、スポーツ全般を好きな人が多いですし。

photo FULLCAST RAISERZ

――平野さんはフルキャストHDの創業者でもあります。起業した経験はDリーグの経営に役立ったのですか?

 業界は異なりますが、組織づくりにおいてはDリーグもフルキャストも同じです。どうやったら組織がうまく機能するのか、運営できるのかは理解しています。

 フルキャストは3人から数千人規模の会社まで成長できました。Dリーグは数十人というまだ小さい会社ですが、役割を決めて、部下に任せて、それを評価して、結果に応じてインセンティブを与える、配置転換をするのは今まで経験しています。組織づくりの知見は生かせています。

 ただ、コンテンツの中身自体には私は極力口を出さず、Dリーグスタッフに任せています。制作はパッション……どうやって人の心を動かすかなので、理論やロジカルとは別ものですから。

 最終判断は私がしますが、営業や制作部隊にどんどん走ってもらって、最大限に力を発揮できる組織のまとめ役をする。これに徹しているつもりです。

photo SEPTENI RAPTURES

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