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上場企業の中計から読み解く下期のビジネスキーワード 食料品「サステナビリティ」、銀行「地域社会」注目すべき3つの分野(1/5 ページ)

» 2022年10月04日 05時00分 公開
[増田忠英ITmedia]

 コロナ禍に加えロシアのウクライナ侵攻で日本経済の先行き不透明になった2022年。日本企業の事業活動はどのように変化しているか。

 上場企業が発表した中期経営計画書(以下、中計)から経営のトレンドとなるキーワードを抽出するポータルサイト「CCReB GATEWAY(ククレブゲートウェイ)」のデータを元に、22年のトピックを分析。

 同年後半の注目キーワード、経営トレンドを予測した。

photo 2022年後半の注目キーワード、経営トレンドを予測(写真提供:ゲッティイメージズ)

企業や業界のトレンドをひと目でつかめる

 CCReB GATEWAYは、不動産テックを活用したCRE(企業不動産)ソリューションを提供するククレブ・アドバイザーズが手掛けるB2B向けポータルサイトだ。今回は、サイトの機能の1つである「ホットワード分析」を利用した。

 企業が開示する中計や有価証券報告書(以下、有報)をAI分析し、登場頻度の高いワード(=ホットワード)をワードクラウド形式で画面に表示する。上位のワードほど大きく表示されるため、経営トレンドのキーワードをひと目で把握しやすい。また、リスト表示で順位順に閲覧できるようにした。

 ホットワードは、中計や有報に登場する数の多い順にワードを表示する「登場数」「企業数」、前年比で増えた割合の順に表示する「登場数増減率」「企業数増減率」など、4つの並び順からユーザーが選んで表示できるようにしている。

 ククレブ・アドバイザーズ代表取締役の宮寺之裕氏は、「『登場数』で見ると、『売上高』や『営業利益』といった開示資料に当たり前に使用されるワードが多くなります。その年のトレンドをつかみたい場合には『登場数増減率』で見ると良いでしょう」と話す。

 ホットワード分析では「報告書の種類」(中計か有報か)もユーザーが選べるようにしている。

 「中計を開示しているのは上場企業約3800社のうち約半数です。それに対して有報は開示義務があるため、全ての上場企業が開示しています。従って、全上場企業を反映しているのは有報での分析になります。

 一方、中計は今後の経営方針を投資家に向けてアピールする側面が強いため、その年のトレンドをより反映しやすいと言えます。中計は決算時期に開示されることが多いため、決算発表が集中する6月と3月は、ホットワードが最も変化しやすい時期になります」(宮寺氏、以下同)

 さらに会員登録(無料)をすれば、特定の業種や個別企業に絞ってホットワードを表示させることも可能とした。

 ユーザーは中計を見る事業企画や調査などに携わる人に限らない。例えば、営業担当者などが企業や業界に関するトレンドを大まかにつかむための“時短”にも活用できるようにしている。

photo ククレブ・アドバイザーズ代表取締役の宮寺之裕(みやでら・ゆきひろ)氏。1998年興銀リース(現みずほリース)入社後、不動産鑑定士第二次試験合格を経て、2002年不動産鑑定事務所入所。07年三菱商事・ユービーエス・リアルティ(現KJRマネジメント)入社。14年三井不動産入社、ロジスティクス事業部(現:ロジスティクス本部)にて用地取得業務担当後、16年三菱商事・ユービーエス・リアルティに復帰。19年7月同社を創業し、現職(撮影:研壁 秀俊)
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