セダンが人気だったのは昭和60年代がピークであった。あのころはクラウンが2.8Lエンジンから3.0Lに排気量アップするだけで乗り換えるユーザーが爆増したり、マークII3兄弟がカローラより売れていた時代だ。
あのころはボディ剛性も低く、乗り心地も柔らか(足回りを堅めるほどボディがしっかりしていないという事情もあったのかも)でゆったりと走りながらも燃費への追及は今ほど厳しくなく(というか当時はユルユルだった感も)、クルマの進化もゆったりしたものだった。
クルマの基本性能は、この20年で劇的に向上している。走りの面でセダンやクーペ、ハッチバックが有利であることは不変ではあるが、そもそも普通のユーザーはコーナリング性能やクルマの操作に対する応答性など気にしていない。自分の操作が適当なのだから、それに適当に合わせてくれればいいのであって、過敏に反応してくれるのは返って扱いにくい。
ノッチバックのメリットとしてラゲッジルームを独立していることで静粛性や後方からの衝突安全性も高いのだが、現在はSUVでもそのあたりは十分に確保されている。
ちなみに現時点では後方からの衝突に対する安全性は、保安基準で明文化されていない。あくまで自動車メーカーの独自基準で安全性を確保している状態なのである。
つまりセダンの優位性は現代においては必要ない要素となってしまったのである。そうなるとセダンに乗り続ける必要性も薄らぐのは当然だろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング