クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向

なぜSUVは売れているのか 「しばらく人気が続く」これだけの理由高根英幸 「クルマのミライ」(4/6 ページ)

» 2022年10月19日 08時17分 公開
[高根英幸ITmedia]

クルマ買い替えの口実になるのも魅力

 セダンからセダンへの乗り換えを考えたとき、そのメリットは何だろうか。スタイリングや年式の新しさといった要素はオーナーだからこそ気になるもので、その家族(特に財布のひもを握っている奥さま)には、そんな要素は購入動機としては響かない。

 燃費が1割向上していても、元を取るには10年かかるようでは、乗り替えのきっかけにはなり得ない。しかし車格が大きく堂々として、室内も広々、ラゲッジも使いやすいとなればどうであろう。

 それがSUV、というワケだ。自動車メーカーからの新しいライフスタイルの提案をユーザーがイメージしやすいことで訴求効果が高まる。

 クロスカントリー4WDのタフなイメージとスポーティなムード、さらに高級感を感じさせる仕立てが加われば、幅広いユーザー層に人気を得るのも当然というものだ。車高の高さからくる眺めの良さや骨太な印象からくる安心感など、クルマを所有する満足感もより高まる要素がある。

 それにSUVの人気が高いのは、日本市場に限ったことではない。欧米など他の先進国でも、新興国でもSUVは高い人気を誇っている。

マツダが先頃発売したCX-60。ラージサイズのSUVとして2t近い車重と大柄なボディを持ちながら、そのフットワークはまるで2サイズ小さいクルマをイメージさせるように軽快ですらある。装備も充実させながら、走りの面もうならせる(現時点では乗り心地には少々問題アリだが)のは、最新の車両開発技術を実感させられるものだ

 そもそもSUVは、ピックアップトラックが人気の北米市場で誕生した全天候型のRVだった。その利便性の高さとタフさから、ワイルドに乗り回すのがクールだと人気を集め始めたのだ。

 日本車ではトヨタのハイラックスサーフや日産テラノといったピックアップトラックをベースとしたSUVが登場してヒットしたが、それはクロスカントリー4WDのオフローダー的なイメージに仕立てられていたが、そこから都会的なイメージのSUVへと発展したことで人気は爆発した。

 日本でのトヨタがハリアーを発売したのは1997年であるから、すでに25年くらいSUVの人気は維持され続けていることになる。

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