クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向

なぜSUVは売れているのか 「しばらく人気が続く」これだけの理由高根英幸 「クルマのミライ」(5/6 ページ)

» 2022年10月19日 08時17分 公開
[高根英幸ITmedia]

これからますます大は小を兼ねるようになる

 現在、SUVを選んでいても大半のユーザーは、年間の走行距離がそれほど多くはない。となると燃費をシビアに考えるオーナーも多くはないことになる。

 実際に燃料コストを考えたとき、1カ月の燃料代で数千円程度の差額であれば、燃料費よりも自分の好きなクルマを選ぶというユーザーは少なくない。激しい燃費競争を繰り広げた軽自動車でさえも、燃費を追求するよりも、プラスαに引かれるユーザーのほうが圧倒的に多いのだ。そうでなければ燃費のいいエコカーばかりが街を走るようになっていたはずだ。

 それよりもタイヤ代のほうが、コンパクトカーや軽自動車に比べてSUVは割高になる。しかしだからといって維持費の安いクルマへと乗り換えるユーザーは少ないことは、SUV人気が持続されていることからも明らかだ。

 駐車場などでの取り回しの悪さはあるが、コーナーセンサーや360度モニターなどのサポートデバイスやパーキング操作を自動化する機能も充実して、大柄なボディをカバーする環境は整っている。

トヨタのハリアーは販売ランキングで上位に(出典:トヨタ自動車)
マツダの「CX-5」も堅調に売れている(出典:マツダ)

 このところの原油高や円安もあって、燃料価格の高騰ぶりはドライバーの懐を直撃している。しかしコロナ禍により自車移動の必要性を再認識したこともあって、快適なSUVでの移動を手放すユーザーはそう多くはないだろう。

 トータルでの維持費増加を抑える手段として、タイヤ代や車検費用、自動車保険などで価格を重視する傾向は強まるかもしれない。しかし安全性や耐久性、サービス内容、いざというときの使い勝手や安心感なども考慮して選ぶ必要があり、インターネット上の口コミや価格比較サイトなどはこれまで以上に需要が高まることも想像できる。

 そして今後EVが主流化し、航続距離をある程度確保できるようになると電費を気にするユーザーは限定的な数にとどまる。そうなれば、ますます大柄なクルマ、デザインや機能に独自性を備えるようなモデルが人気を得ることになるだろう。

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