マーケティング・シンカ論

700人待ちの「シャトレーゼ体感ツアー」 ブランド理解を深める”スイーツ旅”誕生の裏側工場見学の進化版(2/3 ページ)

» 2022年11月18日 07時30分 公開
[堀井塚高ITmedia]

バズりツイートがきっかけで、戦略を変更

 中島室長の認識が変わったのは、シャトレーゼの店舗数が約480店舗にまで増えていた2017年。ある地方在住ユーザーの「シャトレーゼは田舎にしかない」というツイートがTwitterでバズったことがきっかけだった。

 中島室長によると「最初は『シャトレーゼは都会にもある』みたいな論争だったが、そのうち『安くておいしいよね』『あの商品が好きだ』のような論調になっていき、一晩中、ツイートが途切れなかった」とのこと。「北海道から九州まで店舗を出していることは、全国ブランドとして強いんだということを改めて思い知らされた」(中島室長)

シャトレーゼの白州工場

 これをきっかけにシャトレーゼでは初めてTwitterの公式アカウントを開設し、朝昼晩と1日3回はツイートするようにした。22年11月現在、シャトレーゼ公式のフォロワーは58万人を超える。

 新型コロナの流行を受けて白州工場見学が休止になったのは、ブランドの認知度向上から理解度向上へとシフトするきっかけになった。中島氏は「ステージが変わったので従来通りの工場見学再開はない。もうアイスクリーム食べ放題のステージではないと考えていた」と打ち明ける。

ファン化戦略に舵を切ることに ※写真はシャトレーゼホテル にらさきの森

 工場見学から体感ツアーに進化するに当たって中島室長が重視したのが「夏場需要のみから通年へ」「原材料へのこだわりを伝えてファンをつくる」ということだった。もちろん、ブランドの理解度向上という意味では、シャトレーゼの歴史や原材料へのこだわりを紹介する仕掛けも白州工場に用意していたが、無料アイスクリームの前ではかすんでしまった……ということもあるだろう。

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