筆者の記憶によれば、東京オートサロンで自動車メーカーが新型車をお披露目したのは、トヨタbBが最初だった。それまでにないようなスタイルの2ボックス車は、狙い通り若年層を中心に大ヒットとなった。
その後もハイエースやフェアレディZ、シビック TYPE Rなど、さまざまなクルマが東京オートサロンを新型車の情報発信に利用している。今年も日産GT-Rの24年モデルが早々と発表されたほか、三菱からはデリカミニが披露されるなど、東京オートサロンを発表の機会にするブランドが少なくない。
アフターマーケットのためのトレードショーであり、チューニングカーの祭典ではあるものの、国際化の影響もあって道路運送車両法で定められている保安基準が緩和されたことから、普通のクルマ好きもモディファイ(カスタム)を楽しみやすくなった環境になったこともあり、自分らしさを楽しむユーザーが増えつつある。
特に近年はアウトドアブーム、キャンプ人気とあって、アウトドアのイメージを打ち出したモディファイや、利用するシーンをイメージさせる展示も増えている。さらにコンセプトカーなどを展示するメーカーもあり、市場の反応を確かめようという目的も強くなっている。
こうなってくると東京モーターショーとの棲(す)み分けが、いよいよ難しくなってくるという印象もある。モーターショーは自動車メーカーが主体となった近未来のカーライフを想像させるショーであり、サプライヤーは自社の技術や製品をアピールする見本市という性格が強い。
それに対して、東京オートサロンはすでに存在するクルマをどう楽しむかという提案が主だ。したがって旧車あり新型車あり、パーツやサービスなど、カスタマー向けのプレミアムなサービスまで、ありとあらゆる自動車関連企業に出展の機会がある。
そのためどちらもそれなりの規模となれば、本来の周辺領域までカバーするようになるため、被ってしまう部分が発生するのは否めない。むしろ毎年開催される東京オートサロンは、より頻度も高く密接にユーザーの反応を知れる機会だけに、自動車メーカーにとっても貴重なイベントなのだろう。
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