クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向

トヨタ社長も入れ込む「東京オートサロン」 これからどうなる?高根英幸 「クルマのミライ」(4/6 ページ)

» 2023年01月20日 08時09分 公開
[高根英幸ITmedia]

自動車業界の若手育成にも貢献する東京オートサロン

 東京オートサロンは、整備士学校の生徒による作品の展示会でもある。NATSの略称で知られる日本自動車大学校は、その代表的な存在だ。今回もトヨタ・アルファードの後ろをピックアップトラックに改造したクルマや、マツダ・ロードスターをサバンナRX-3仕様に仕立てた大胆なモデルなど、刺激的な作品が並べられていた。

NATSブースで展示されていたアルファードのボディを延長しピックアップにした作品と、マツダロードスターを旧車のサバンナRX-3仕様にした作品。ロードスターのワイドなオーバーフェンダーは、学生たちが鉄板から叩き出して製作した

 当日、説明員を務めていた同校の関係者に話を聞いたところ「これらの作品は、生徒が入学時からアイデアを温めて、グループごとに予算(1台100万円)からベース車やパーツの購入費用を捻出して仕上げています」と語っていた。

 学生たちはネットの情報を駆使して車体や部品をかき集め、製作に勤(いそ)しむ。車両は地元のディーラーから提供してもらうこともあるそうだが、驚くべきはド派手な改造車にしか見えない車両でも、展示後にしっかりと改造申請を行ない、ナンバーを取得して伊豆まで卒業ツーリングに行くのだ。強度計算や試験まで行なって、申請書類も作成することで、卒業後はその経験がスキルと自信につながるのだろう。

 これも東京オートサロンに出展するんだという目標があるからこそ、課外授業となる車両制作も一生懸命になるのだ。こうした整備士学校の学生たちにとって、東京オートサロンは晴れの舞台であり、プロのメカニックへと巣立っていく儀式の一部なのだ。

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