だが果たして、クルマをモディファイしたり、チューニングして走りを楽しんだり、そうした行為がいつまで続くのか、大転換期の現在では予測が難しい部分ではある。かつてCASE(※)が唱えられ出したころには、マイカーなどなくなり、クルマ趣味もほとんど絶えるような予測も出現した。
しかしモータースポーツではエンジンが使われ続けようとしているように、EVが主流になってもEVでモディファイを楽しむ層も増えていくだろうが、エンジンが絶えることはおそらくないだろう。
自動運転が実用化されても、自らパワフルなマシンを操ることで得られる興奮や緊張感は、何物にも代え難い魅力なのである。これからも時代を反映して徐々に変化していく部分もあるのだろうが、東京オートサロンは観光資源ともなり得るだけでなく、日本のクルマ需要を支え盛り立て、自動車産業の新たな活力になりつつある。
日本から特別なアイテムをアジア圏のクルマ好きに向けて送り出す、そんなビジネスはすでに行われているし、これからますます盛んになるだろう。そう、農作物や漁業などと同じく、日本からプレミアムなサービスを提供することは、自動車産業生き残りの大きな武器になるに違いないのだ。
芝浦工業大学機械工学部卒。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。これまで自動車雑誌数誌でメインライターを務め、テスターとして公道やサーキットでの試乗、レース参戦を経験。現在は日経Automotive、モーターファンイラストレーテッド、クラシックミニマガジンなど自動車雑誌のほか、Web媒体ではベストカーWeb、日経X TECH、ITmedia ビジネスオンライン、ビジネス+IT、MONOist、Responseなどに寄稿中。近著に「ロードバイクの素材と構造の進化(グランプリ出版刊)、「エコカー技術の最前線」(SBクリエイティブ社刊)、「メカニズム基礎講座パワートレーン編」(日経BP社刊)などがある。
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