PS5が2年間も品不足になった理由の一つ目は、発売するとき(2020年11月)、日米欧で同時に出したことで、それが裏目になる流れになったことです。もともとゲーム機は、発売時に極端に需要が集中する傾向にあります。日米欧で出せば、各地の需要を見て、出荷台数のバランス調整を取るだけでも大変です。
それでもソニーが同時発売に踏み切ったのは、PS4の発売時に受けた批判の影響があります。
PS4のときは、まずゲーム市場の主戦場である米欧で先行発売し、数カ月遅れで日本にお目見えしました。そのためか、PS4は比較的入手しやすかった一方で、「日本市場の軽視」という関係者やファンから不満が出ました。
PS5の発売直前、SIEのジム・ライアン社長がインタビューで以下のように答えています。
Q:以前のインタビューで、PS4の日本の発売時期を遅らせたことを後悔していました。その場で「PS5は世界で年末商戦期に発売するつもり」と言わなかったのはなぜですか。
ライアン社長:それは、最終的な決定がされていなかったからです。インタビューでも話した通り、私自身はPS5を日米同時発売をしたいと思っていましたが、決定を100%にするには、さまざまなピース(かけら)がはまらないとダメでした。だから、そのときは言えなかったのです。
PS4の発売時にも欧米では、半年以上品不足が発生しました。PS5の出荷計画は、PS4に準じている流れですが、先行発売のエリアに日本が加わると、供給が大変になるのは、予想できたはずです。
それでもソニーは、旺盛な需要に対しても、即座の増産で対応できる自信があったからこそ、日米欧同時発売に踏み切ったといえます。アジア地域の発売も、スムーズなものでした。
しかし、そこに世界的な物流の混乱があるところまでは、さすがに予想外だったでしょう。その上、ロシアのウクライナへの侵攻までありました。取材をすると、製造した商品が予定通りに届かない……ということもあったようです。
ソニーは、PS5の出荷計画もなかなか動かさなかったように、増産を最後まで諦めなかったようですが、結果として2021年度のPS5の出荷数は、計画に対して8割弱にとどまりました。このPS5のスムーズな増産ができなかったことこそ、最大の誤算ではないでしょうか。世界情勢がかんでいるので「仕方ない」といわれるとその通りですが、世界中での機会損失を考えると、とんでもない額になりそうです。
ソニーの「着るエアコン」“バカ売れ” 猛暑追い風に「想定以上で推移」
「スシロー」はなぜ、“食器舐め”本人の謝罪を拒否したのか 広報に聞いた
「ロッテリア」はどこでしくじったのか 売却に至った3つの理由
カタールで見つけた大量の「PS5」 日本の品薄状態はどうなる? ソニーに聞いた
「侍ジャパンの決勝、どうなった?」 9回表に離陸、航空会社の機内アナウンスが賞賛されたワケ
侍ジャパン人気、食に波及 東京ドームで「高額弁当」“バカ売れ”のワケ
“ヌートバー効果”! 東京・かっぱ橋で「ペッパーミル」爆売れ 「4年前の在庫がやっと売れた」
侍ジャパンの選手が舌鼓 大阪の焼肉店「明月館」、“WBC効果”で来店客増加中
「想定以上の売り上げ」──期間限定47%増量商品、品切れ相次ぐ なぜローソンは値下げを選ばなかったのか
WBC取材の米国人記者、叙々苑弁当を「最高の食事」と絶賛 売れ行きは「まずまず」
加速する局アナの“テレビ離れ” 元TBS国山ハセン氏が選んだ意外な転職先
社用スマホ転売で6億円着服──バンダイナムコはなぜ、社員の不正を防げなかったのか
なぜ鳩? 「イトーヨーカドー」ロゴの謎 「ヨークベニマル」と何が違う?Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング