東京の人が北海道でセカンドハウスを持ちたいと考えたとき、どんな家に憧れるだろうか。
例えば、自然に囲まれた一軒家……しかしながら、夏は庭の手入れ、冬は除雪の心配をしなければならないことを考えれば、一軒家がセカンドハウスに向くとはいえない。
その点、マンションならば、庭の手入れも除雪もしなくて済む。
そこで、近年は札幌中心部のマンションが人気を高めているのだが、購入者の多くは北海道民で、札幌市外に住んでいる人。「人生で一度は、便利な札幌に住んでみたい」と憧れていた人たちだ。
これに対し、道外在住者で「北海道の暮らし」に憧れる人は、必ずしも札幌市内のマンションを狙うわけではない。
理由は、「都会暮らしに憧れているわけではない」からだ。
便利な都会暮らしなら、東京や大阪、名古屋でいくらでもできる。それよりも、北海道では雄大な自然の中でキャンプやゴルフ、スキー、釣りなどを楽しみたい。
そう考えたとき、旭川には大きな利点がある。
まず、北海道の中心部に位置するため、道内のどこにでも車で出かけやすい。北海道ライフを満喫する拠点になるわけだ。
次に、旭川であれば、東京から飛行機で行きやすいという利点もある。旭川空港から旭川駅まで車で30分程度。これは、新千歳空港から札幌中心部まで行くよりも所要時間が短い。
以上の特性に加え、マンションのまわりは買物や飲食に便利で、窓から見える眺望は雄大……東京の人が旭川でセカンドハウスとしてマンションを購入するのには、納得できる理由があったのだ。
「プレミスト旭川ザ・タワー」の場合、高層階には1億円以上の住戸があるのだが、中層、低層には4000万円台の3LDKもある。その価格帯で、約80平米の広さが中心となり、札幌よりも同じ価格帯で広い。だから、セカンドハウスとして購入されるケースが多くなっている、というわけだ。
北海道では、今、超高層マンションが勢いよく売れている。
その理由は、外国人が買うからでもなく、高所に住みたがる人が多いからでもない。
マンションのことをよく知っている人が「今買わないと、次はない」と考える物件が次々に出てくるから、北海道でマンションブームが起きているのだ。
そういえば、北海道北広島市の「エスコンフィールドHOKKAIDO」で、球場近接のマンション「レ・ジェイド北海道ボールパーク」が早々に完売したが、あのマンションも「次はない」と考えられた。
「次はない」と思えるマンションならば、東京でも大阪でも人気が高まる。
例えば、今、東京で爆発的な人気になっている「三田ガーデンヒルズ」も同様のマンションが続々出てくる可能性はない。大阪のうめきた第2期工区で新築マンションが分譲されれば、それも「次はない」ことで爆発的人気になるだろう。
北海道では、たまたま「次はない」マンションが続出している。
だから、最上階の高額住戸を買う人も出る。
その状況が分からないと、今、北海道で起きているマンションブームは理解できないのである。
住宅評論家。全国の住宅事情に精通し、現場取材に裏打ちされた正確な市況分析、わかりやすい解説で定評のある、住宅評論の第一人者。毎日新聞で連載コラムを持ち、Yahoo!ニュース「個人」でも住宅コラムを連載中。テレビ出演も多い。『買って得する都心の1LDK』など著書多数。代表作は『不動産の法則 誰も言わなかった買い方、売り方の極意』(ダイヤモンド社)
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