ラクリッチのユニークさは「残り半分は箱を開けるまで分からない」というところにある。
「何が届くか分からないからなあ」というせりふは、否定的な感情を込めて用いられることが多い。しかし、ラクリッチの場合「選んだのは老舗百貨店のスゴ腕バイヤーだ。おいしくないわけがない」という安心感があるため、ユーザーの「分からない」は、ワクワク感を伴う肯定的なものへと変わるのかもしれない。
そもそも、コース内容を選べないという設計は、どこに着眼点を置いて開発したのだろうか。
岡崎氏は、消費者からの「献立を考えたくない」「食材を選ぶどころか、弁当や総菜を選ぶのもおっくう」「デパ地下に行けばおいしそうなものが並んでいるが、情報が多すぎてかえって選びづらい」という声が基となっていると話す。
また、選べる商品と選べない商品の「半々」という割合は、社内でテストしたときに生まれたものだという。
「プロトタイプでは、何が入っているのか全く分からない状態を採用していましたが、テストに参加した社員へインタビューしたところ『全部分からないのは、慣れていないうちは注文するのをためらってしまうかもしれない』という声がありました。半分くらいがちょうどいい、という声が圧倒的に多かったのです」(岡崎氏)
それでも、半分は安心してお任せできる。これこそがバイヤーが信頼されている証なのかもしれない。
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