大丸松坂屋百貨店が冷凍食品のサブスク「ラクリッチ」を開始した。同社は百貨店というリアルタッチポイントを持つ点で有利なものの、ECとしては完全に後発組。それでも「勝機がある」と大丸松坂屋では考えている。百貨店ならではの“ある強み”を生かし、他にはないサブスク事業を作り上げたという。
ラクリッチは、その“ある強み”を最大限活用すべく、中身の半分は「選べない」。何が入っているかは、届くまでのお楽しみだ。
なぜわざわざ「選べない」体験を提供するのか、その背景に隠された大丸松坂屋ならではの強みは何なのか。大丸松坂屋 経営戦略本部 DX推進部長 岡崎路易氏に話を聞いた(※「崎」の字は、正しくはつくりが「立」に「可」の“たつさき”)。
ラクリッチは、冷凍グルメのサブスクサービスだ。デパ地下の有名な総菜ブランド、レストランなどから厳選された商品を冷凍にして毎月届ける。ユーザーが事前に知れるのは、届く商品の半分まで。残り半分は“フタを開けてのお楽しみ”で、中身が分からない。
通常、冷凍食品を注文する場合、事細かに中身を選べるものだが、ラクリッチでは、ユーザーが「選ぶ」という行為がほとんど発生しない。
ラクリッチで届ける商品選びは、100年続く老舗百貨店ならではの「目利きバイヤー」によるものだ。有名店から隠れた名店までを知り尽くしたバイヤーが、試食を繰り返し、冷食化してもおいしく、また家庭で調理しても再現性の高いものを選ぶ。調理は湯せんやレンジ、トースターでのあたためが多く、手軽にできるようにした。
既存の冷凍食品のほか、名店とコラボして新たに開発したオリジナル商品もある。9月1日に登場したリストランテ ホンダ×ラクリッチの「国産牛スネ肉のラグーソース・オッキデルーポ」や、デミグラスソースで定評のある西洋銀座とのコラボ商品など10品を提供している。
これらはどれも、できたてを買いに行ける人、実際に店に足を運べる人しか味わえなかった料理だが「技術の発達と、どの段階で冷凍したらおいしい状態を再現できるのかという試行錯誤により冷食化して、遠方に住む人にも届けられるようになった自信のある商品です」と岡崎氏が言う。これも、バイヤーの経験があるからできることで、ぽっと出の“食通”にはできない技だろう。
コースは、6〜8品程度が届く「ちょいリッチ」(6500円)、7〜10品程度の「しっかリッチ」(9000円)、同じく7〜10品程度だがより豪華な料理をより楽しみたい人向けの「すごリッチ」(1万2000円)の3種類を用意する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング