マーケ施策の効果測定前に「失敗が確定」なぜ起こる? 効果測定の罠を知る:トライバルメディアハウスのマーケ戦略塾(2/4 ページ)
ケース1〜5でどんなことが起こってしまっているのか、例を挙げながら解説します。
表と照らし合わせながら考えてみたい
[例]
- 診断:なし
- 処方:流行りのTikTokを使ってZ世代へのブランディングを強化しよう
- 結果:再生数やコメント率など
- 解釈:これって成功なの? 失敗なの?(これって何のためにやったんだっけ……)
[解説]
- 「診断をしていない=目的がない」状態のため、何をやっても結果の解釈ができない
- 本ケースは、KPIしか設定されていないケースが大半。KPIは、どんなに数値が高くても「だから何なんだっけ……」となりがち
- KPIだけでは成功か失敗か解釈できないため、施策終了「後」に後付けで「売り上げ効果」が見られるケースが多い
- そして、売り上げが伸びていないと「話題にはなったけど“売り”にはつながらなかった」と結論付けられることが少なくない
[例]
- 診断:今期の売り上げが足りないのはブランディングが足りないからだ
- 処方:ブランディング広告を打とう
- 結果:今期の売り上げが増えない
- 解釈:ブランディングなんて意味ないじゃないか!
[解説]
- 今期の売り上げが足りていないのはブランディング不足だけが要因ではない可能性が高い(診断の誤り)
- 診断を間違ったため処方も間違っている(今期の売り上げを積み増しする施策としてブランディング広告はマッチしない)
- 結果として今期の売り上げは増えない
- ブランディング施策が悪いのではなく、診断と処方が間違っているから望む成果(今期の売り上げ)が得られなかっただけ
[例]
- 診断:既存顧客のロイヤルティは高い。当社の問題は認知が低いことだ
- 処方:バズキャンペーンで認知を上げよう
- 結果:認知が上がらない
- 解釈:バズキャンペーンなんて意味ないじゃないか!
[解説]
- 診断までは合っていた
- 堅実に認知度を上げるのなら広告を打つべきだった(処方の誤り)
- 結果として認知は上がらない
- バズキャンペーンが悪いのではなく、処方を間違ったから望む成果(認知向上)が得られなかっただけ
[例1]
- 診断:CPA上昇に歯止めがかからない。潜在客の育成にも着手するべきだ
- 処方:コンテンツマーケティングに取り組もう
- 結果:取り組んだのに、今期の売り上げは増えなかったぞ
- 解釈:コンテンツマーケティングなんて意味ないじゃないか!
[解説]
- 診断も処方も合っている
- コンテンツマーケティングの成果が出始めるまでは少なくとも半年から1年はかかる。そのためKGIは短期ではなく中長期で定めるべき(KGIの誤り)
- コンテンツマーケティングが悪いのではなく、期待する成果の時間軸が間違っているだけ
[例2]
- 診断:認知を上げる必要がある
- 処方:テレビCMを打とう
- 結果:テレビCMを打ったのに、今期の売り上げは増えなかったぞ
- 解釈:テレビCMはオワコンだな!
[解説]
- 診断も処方も合っている
- テレビCMで認知も上がった
- 今期の売り上げが増えなかった隠れた主要因は、実はストアカバレッジの低さ(買いたくても買えない)や、パフォーマンス評価の低さによるリピート売り上げの低迷だった
- テレビCMが悪いのでなく、「広告効果=マーケティング効果」と誤って認識していることが問題(広告はマーケティング活動の一つに過ぎない)
[例]
- 診断:マス広告で認知は十分取れてきたが、興味喚起が足りていないようだ
- 処方:マスPRに取り組もう
- 結果:期待するほどの露出は得られなかったな
- 解釈:今回の結果から学び、次回はもっと企画の工夫をしよう
[解説]
- 診断も処方も合っていたが、望む成果は得られなかった
- しかし、課題と解決策は合っているため、この「失敗」は「悪い失敗」ではなく「良い失敗」である
- トライアンドエラーを続ければ、いずれ良い成果が出る可能性がある
[例]
- 診断:当社はいままで広告を打ったことがない。まずは堅実に「いますぐ客」の獲得から始めたい
- 処方:リスティング広告に取り組もう
- 結果:期待する成果を得られているな
- 解釈:始めて良かった。PDCAを回しながら少しずつ予算を増額しよう
[解説]
- 診断も処方も合っていて、望む成果が得られた唯一のケース
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