連載「生成AIスタートアップの挑戦」第7回は、生成AI教育のCynthialy(東京都渋谷区)を取り上げる。
同社は同社は生成AIコンサル・リスキリング支援のほか、生成AI知見を生かした事業開発、マーケティング、コンテンツ記事制作支援などを手掛けている。
同社の生成AI活用研修を受講し、Webサイト流入を3倍、問い合わせを0件から60件に伸ばした企業もあるという。その研修の中身とは――。Cynthialyの國本知里CEOにサービス内容を聞いた。
社名 | サービス概要 | 顧客が受ける恩恵 | サービスの強み | リスク対処 | ビジネスチャンス |
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エクサウィザーズ | 株主総会の想定問答作成を支援 | IR業務を効率化 | 大企業のニーズを把握、エンジニアも多い | 生成AIの処理は国内で実施 | コスト削減の余地が大きい業務に拡大できる |
Spiral.AI | 個性を有した会話が可能なAIコミュニケーションツールを開発 | 対話していて楽しいコミュニケーション体験 | AIに個性を付与する各種技術ノウハウ | ISMSなどの国際・業界基準に沿った情報管理 | ユーザーフレンドリーなUI/UXに仕立てていくかが非常に肝要 |
リーガルスケープ | 法令検索などのプラットフォームを提供 | 気になる法的論点などを1分足らずで提供 | 自然言語処理技術・生成AIをいち早く法務調査に応用 | 生成AIに詳しい弁護士複数名から助言 | 法情報をデジタル化し価値を最大化すること |
ABEJA | 独自AIプラットフォームで企業にDX支援 | ゼロPoC(実証実験)で運用が可能 | 検討から運用までのスピードの速さ | AIに関する課題を討議する外部有識者委員会を設置 | LLMが企業DXの起爆剤に |
AI inside | マルチモーダルAIを簡単に作り・使い・共有できるプラットフォーム | 文書、画像、音声などあらゆるデータを活用した高度なDXの実現 | マルチモーダルなインプット/アウトプット実現 | 国内サーバーで専用のプライベート環境を構築 | 自律型AIを研究開発し「AIの民主化」へ |
リーガルアイ | AI法律相談サービスを提供 | 「最初に疑問に即座に答える」ニーズに応える | 未知の法的問題への対応を予測する能力も持つ | 個人情報を収集せず著作権に関わるものは生成していない | 弁護士外にも無数のAI(人間の分身)を創造 |
Cynthialy | ChatGPT・生成AIリスキリング研修を提供 | 業務効率化の例)オウンドメディア運営で取材の翌日に記事完成 | 生成AIを組織内で実践的に活用できる人材を育成 | リスクを防ぐために必要な環境構築のための学習プログラム・環境導入を支援 | 人手不足の問題にも対処できる可能性 |
各社の回答(要約) |
当社では、生産性向上・DX新規事業を推進したい企業のためのChatGPT・生成AIリスキリング研修「AI Performer」を提供しています。この研修では生成AIの本質を理解し、現場で使える実践的な知識を身につけることをモットーに、オンデマンド教材だけでなく、現場従業員を交えたワークショップを実施することで、現場業務との連携を重視した教育サービスを展開しています。
AI Performerでは、まず生成AIの基礎リテラシーをオンデマンド教材で学び、その後は現場の従業員と共にワークショップをしながら、業務領域に適した生成AIの活用方法を習得できます。
研修終了後も、業務改善プランの策定や生成AIサービス導入の技術支援など、一気通貫でサポートし、スピード感のある環境改善を実現しています。AI Performerは、会社全体の生産性向上を最重要視しており、組織内で生成AIを実践的に活用できる人材を育成します。
実際にAI Performerを導入した企業からは、業務効率化の成功がいくつも報告されています。その中から1つ事例をご紹介します。
システム開発や人材派遣を手掛けるスマートソーシャル(東京都品川区)は、AI Performerを受講し、ChatGPTのスキルを身につけたことでオウンドメディアの運営に劇的な改善をもたらしました。
同社は当初、自社でオウンドメディアを運営したいと考えていましたが、ライターを雇うコストや時間、コンテンツ品質の問題に直面していました。しかしAI Performerの受講により、従業員がChatGPTの活用方法を学ぶことで、取材から記事執筆までのプロセスが劇的に改善され、取材の翌日には記事が完成しているというスピーディーな進行が可能になりました。
この結果、記事の大量生産が可能となり、Webサイトへの流入は3月時点ではほぼゼロから、3倍に増加しました。さらに、ブログを通じた問い合わせも急増し、もともとの0件から60件以上の問い合わせが寄せられるまでに成長しました。
当社の強みは、生成AIを組織内で実践的に活用できる人材を育成するための「0→1」の導入支援です。具体的には、スキルの習得だけでなく、組織に合ったガイドライン作成のサポートや、従業員のマインドセット変革による学習習慣の定着、目的意識の育成まで一気通貫で支援しています。
当社は著作権や個人情報保護法などのリテラシー向上、理解促進のための学習プログラムも提供していて、リスクを防ぐ上で必要な環境構築のための学習プログラムや環境を導入する支援も手掛けています。また、安全に使うためのガイドラインを学習したり、ガイドラインを作成するまでをプログラムに入れています。
パーソルイノベーションの「ChatGPT活用状況レポート」によれば、現在AIの本格的な導入に踏み切っている企業はわずか11.5%に過ぎません。
しかし将来、生成AIがビジネスで重要な役割を果たすと予想されています。その理由は、まず生成AIが業務の自動化と効率化に役立ち、企業がコスト削減や生産性向上を図れること。また、日本の少子化が進む中、人手不足の問題にも対処できる可能性もあるからです。
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