上司が部下に指示・命令し、部下は指示に従って業務を遂行する――このような、職場で当たり前に目にする光景を打破しようとする企業がある。
電子認証のクラウドサービスを手掛けるGMOグローバルサイン・ホールディングスは4月から、「ホラクラシー型組織」を本格導入している。ホラクラシーでは、上司や部下といった階級・役職を排除し、全ての従業員が主体的に働くことを目指している。
日本では、上司と部下がいて、業務は上から降ってくるトップダウンの組織体制が根強い。「上司からの指示・命令のない」組織は、本当にうまくいくのだろうか……? 同社CHRO兼HR戦略室長の田中里子さんに話を聞いた。
ホラクラシーは、役職・階級などの区分を排除し、「人」ではなく、ロールと呼ばれる「役割」で組織を構成する自律分散型の組織管理体制だ。
田中さんによると、ホラクラシーでは、組織の目的・目指すゴールを細分化し、サークル(プロジェクトチームのようなもの)を立ち上げ、ロールにひもづいて従業員をアサインするという。従業員は与えられたロールに基づき、自主的に業務を進める。意思決定プロセスは全て「ホラクラシー憲法」と呼ばれるルールに沿って行われるのだそう。
田中さんは「ホラクラシーでは、上とかしたとか、トップダウン、ボトムアップという概念がありません」と説明する。
ホラクラシーはサークルの考え方や意思決定の方法といったルールは明確に定められている一方で、どういう風にサークルを分類、立ち上げるのかは自由度が高く、運営方法は組織ごとに異なる。同社では、会社の規模感などを考慮し、大きく「ガバナンス」(ガバナンスやHR関係)、「ジョブ」(従業員の専門領域にひもづく)、「プロジェクト」(売り上げを上げていくためのプロジェクト)の3つのサークルに分類している。
「例えばガバナンスであれば、その中にHRや情報セキュリティ、内部監査、ファイナンス、情報システムなどのサークルを含んでいます。サークルに人材開発やタレントマネジメントといったロールを設定し、ロールに人をアサインしていく――というイメージです。
私はCHROですが、これは役職ではなく役割です。CHROの役割に、私がアサインされているということになります」
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