新時代セールスの教科書

鬼に金棒? オープンハウス「最強飛び込み部隊」が持つ“とんでもない地図”の正体「やる気◎センス×」営業マンを応援(3/4 ページ)

» 2023年12月05日 07時30分 公開
[大村果歩ITmedia]

現場の営業にうまみ 利用率が異様に高いワケ

 AetAは利用率が非常に高く、奥井さんの部署では部長クラス以外の全営業パーソンが活用しているという。日々忙しい営業パーソンにとってツールへの入力作業は負荷が大きい場合もあり「せっかくツールを導入したのに、活用してくれない」と悩む声が多く聞かれる。同社ではどのようにAetAの活用を根付かせていったのか。

 「AetAに名刺情報を登録すれば、顧客の情報を一元でデータ化できます。これにより、今までは個別で不動産会社の担当者に営業のメールを送っていたのを、一気に42万名刺分の顧客に送信できます。この点を便利だと思った営業が多く、活用が進みましたね。

 営業個人としても楽ですし、会社としても、今までは1人の営業がアプローチできる数に限界がありましたが、一気に42万人に届けられるため、機会損失を生まないメリットがあります」(奥井さん)

自社開発ならではのメリットも

 AetAの活用により、売り上げ増や営業組織内の引き継ぎがスムーズになるなど、さまざまな効果が出た。

 例えば、自社で購入した物件を消費者に売る収益不動産のビジネスでは、物件情報をどれだけ多くの人に見てもらえるかが重要になる。母数が多ければ多いほど、その中で高く購入してくれる顧客を見つけられる可能性も高まるからだ。

 奥井さんは「AetAによって、今まではそれぞれの営業が作っていた名刺リストにしか届けられていなかった情報を、当社の顧客全てに届けることが可能になり、売り上げにも貢献しています」と話す。

 「他にも、各営業パーソンが抱えていた取引先リストや営業活動の情報が全社で管理されているため、急な従業員の退職や異動が発生した際も耐えうる体制を築けています」(奥井さん)

営業DX オープンハウス・リアルエステート ソリューション事業部 事業推進部長の奥井雄貴さん

 自社で開発したため、改善がスピーディーにできる点も評価されている。奥井さんが発案、開発したAetAは、現在オープンハウスのグループ企業などでも活用が進み、「どこで使われているか把握しきれないほど」だという。

 営業におけるシステム導入は、一般的にセールスフォースを活用する企業が多い。同社は自社で開発したことで、決められた枠組みにとらわれず、現場のニーズやビジネスの移り変わりに応じて新しいシステムを入れたり、無駄な部分を省いたり、スピーディーに改善対応できる。

 「改善点が出てきたらすぐ取り組めたり、最終的なコストが抑えられたり、自社開発には多くのメリットがありますね。いつのまにかグループ企業でも活用されているというのは、自社開発だからこそできたことです」(奥井さん)

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