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「モンハン」がJR東海とコラボ、カプコンの狙いは? 辻本プロデューサーに聞いた(1/2 ページ)

» 2024年06月13日 08時00分 公開
[河嶌太郎ITmedia]

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 2024年に入り、ゲーム大手のカプコンがJR東海とのコラボを進めている。2月にはカプコンのゲーム作品のキャラクターと、東海地区の観光名所を一緒に描いたイラストを展示した「THE CAPCOMミュージアム in 名古屋」を開催した。

 3月から5月6日にかけては、愛知県蒲郡市にあるリゾート施設「ラグーナテンボス」で、『ストリートファイター6』コラボイベント「ストリートファイター6〜俺より強いやつに会いに行く!〜in ラグーナテンボス」を実施。これらの一連のコラボは「CAPCOM TRIP TOKAI」として打ち出している。

 この「CAPCOM TRIP TOKAI」第3弾となる取り組みが、4月24日から7月末にかけて愛知県豊橋市で始まっている。その名は「豊橋へ 一狩りいこうぜ!」で、カプコンの人気アクションRPGゲーム「モンスターハンター(以下、モンハン)」シリーズとコラボしている。カプコンとJR東海だけでなく、豊橋市の政財界も推進する取り組みで、一連のコラボの中でも特に大規模な、街を挙げた展開となっているのが特徴だ。

 一ゲーム企業がここまで積極的なコラボを進める狙いは何か。「モンハン」シリーズのプロデューサーを務めるカプコンの辻本良三氏(辻は正しくは「一点しんにょう」)に聞いた。

カプコンの辻本良三氏(取締役専務執行役員/「モンスターハンター」シリーズプロデューサー)

海外からのファン層を取り込めるか

――今回の一連のコラボに至った経緯を教えてください。

 当社ではこれまで多くのコラボを展開しているのですが、今回の企画の始まりは、JR東海さんからの打診でした。JR東海の「推し旅キャンペーン」の一環でお話をいただき、豊橋やラグーナテンボスなど、さまざまな施設への現地視察や、「ここだったらこういうことができるのでは」といったことを議論していくうちに、次第に形になってきました。

――今回はラグーナテンボスでの「ストリートファイター」シリーズに続く形で、豊橋で「モンハン」シリーズとのコラボになりました。「モンハン」シリーズは2004年から続く、今年で20周年の作品です。社内ではどんな位置付けのIPなのですか。

 「モンハン」単体のブランドでいうと、幅広いユーザーがいる傾向にあります。他作品にあまりない特徴として、多人数でモンスターを狩るマルチゲーム要素が高い作品という点があります。そのため、ユーザー同士のコミュニティーができやすい特徴があります。

 「モンハン」の現地イベントを実施すると、一人ではなく、多人数で来るファンが多いのです。われわれもグループでもっと楽しめることをしたいと考えています。既に豊橋でのコラボの件も、インターネット上などのコミュニティーで話題になっているようです。YouTubeなどで動画配信している人も多くいますので、豊橋を訪れて、豊橋の良さに触れ、その魅力を発信してくれたらうれしいと思います。

――「モンハン」はシリーズ20周年になりますが、カプコンの中では「ストリートファイター」などに比べると比較的新しめのシリーズだと思います。その分ファン層に若年層が多いといった傾向はあるのでしょうか。

 年代が幅広いのが特徴です。とはいえ、強いて言えば10代20代の若年層が多い傾向もあります。男女比に関しては、ゲームでは大体、男性が8割、女性が2割です。しかし、こういうイベントになってくると、参加者の女性の比率が4割から5割に上がってくる傾向があります。

――「モンハン」のメインテーマ曲「英雄の証」は2021年の東京オリンピック開会式でも『ドラゴンクエスト』『ファイナルファンタジー』のテーマ曲と並んで選手入場時に使用されました。カプコンの中でも比較的新しめで、重点的に打ち出していきたい作品という位置付けなのでしょうか。

 そうですね。「英雄の証」はシリーズの当初から、この曲を最終的なメインテーマとして皆さんが認知することを目標にしてきた曲です。シリーズを通してこの曲だけは変えてこなかったんですね。多くの人がこの曲を通じて「モンハン」を知り、新規ユーザーとして入ってくる人もいます。20年たって、やってきたことが実ってきている部分があります。

――コロナ禍が明け、インバウンドが過去最大になっています。今回のようなコラボで、国内だけではなく海外からの客層の意識は変わっているのでしょうか。

 「モンハン」シリーズは、かつては日本だけで強いIPという傾向があったのですが、2018年の『モンスターハンター:ワールド』など以降、グローバルに拡大できています。現在では北米、欧州、アジアでファンがいる作品になってきています。

 一方、海外でこういうイベントをまだ展開できていません。今では、日本のアニメやゲームを目当てに、観光で日本を訪れる人も増えてきています。海外のファンにも豊橋に来て、「モンハン」でもこんなイベントをやっているのかと知ってもらいたいと思います。

「モンハン」のラッピングを施した豊橋鉄道市内線
豊橋駅には「モンハン」のキャラクター「アイルー」の像も建立されている(写真は建立前)
「モンハン」のタペストリーで彩られた豊橋市のときわ通り商店街
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