しまむらのスリッパは「ありふれていた」のに、なぜ100万足を突破したのかみるみる売れた(4/5 ページ)

» 2024年06月23日 06時00分 公開
[小林香織ITmedia]

毎年の改善で、どんどん売り上げアップ

 こうした顕在ニーズを参考に、しまむらでは毎年製品をアップデートしている。2021年には、甲の裏部分に吸水速乾性を持つメッシュ素材を採用して、よりムレにくい仕様に。2022年には足を入れやすくして、脱げやすさを改善した。

 2023年には、メッシュ素材を変えてインソールのざらつき感を軽減。そして、2024年には厚底タイプのアウトソール(靴の裏側のパーツ)にも通気口を設けて、通気性を向上させている。

甲の裏部分もメッシュ素材で通気性アップ。脱げやすさやインソールのざらつきも改善(筆者撮影)
厚底タイプのアウトソールにも通気口を設けた(筆者撮影)

 こうした地道な履き心地の改善に加え、豊富なデザイン展開も売り上げ向上につながっているとバイヤーの東氏は言う。

 「キャラクターを使ったデザインは2022年ごろから展開しており、シリーズの中でも非常に人気があります。近年は『昭和レトロ』や『平成レトロ』といったブームの広がりにより、幅広い年齢層の方がキャラクター製品を選ぶようになっています」(東氏)

 FIBER DRYシリーズのスリッパは、年間100種類以上のデザインを扱っており、70%強は毎年デザインが変わっているそうだ。

シンプルよりも動物や食べ物などのモチーフを使ったデザインが人気(しまむら提供)
インソールや側面にもプリントを施し、デザイン性をアップ(筆者撮影)

 「動物やフルーツのモチーフは女性の支持が高く、側面やインソールのデザインプリントといったしまむらならではの工夫も人気の要因かもしれません。他社はシンプルなデザインが多く、このようなデザインはあまり見かけませんので」(柳澤氏)

 機能性の改善や豊富なバリエーションに注力した結果、2020年から毎年20万足ずつ売り上げを伸ばし、2023年に100万足を達成。2024年は当初110万足を目標にしていたが、現状は167万足を売る見込みだという。

 「大々的な宣伝活動はしていないのですが、使用感が良くなっていたり、頻繁に新しいデザインを発売したりすることで、リピーターのお客さまを獲得できているのだろうと考えています」(柳澤氏)

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