とはいえ、先ほども触れたように、これからの時代、パワー半導体を自国で生産できない国の先行きは暗い。そこで「経済安全保障」を掲げる経産省がテコ入れに動いている。
例えば2023年12月、東芝とロームがパワー半導体を共同生産すると発表した際に、経産省は両社の事業総額3883億円の中で最大1294億円を補助した。
11月29日にも半導体企業などに最大1017億円を助成すると発表したが、中でも突出して多かったのは、デンソーと富士電機のSiC(炭化ケイ素)パワー半導体関連の最大705億円だった。
さらに日本政府は、これらの企業に「連携」を呼びかけている。各社シェアが小さいので、束にならなければ、パワー半導体の巨人であるインフィニオンの背中すら追いつけないからだ。
このように官民一体となって、パワー半導体競争を勝ち抜こうとしているわけだが、そこに大きな脅威となっているのが「ホンハイの日産買収」だ。
一見すると、全く関係のないこの2つは、実はかなり深く関わっている。順を追って説明していこう。
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