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オーダースーツ「KASHIYAMA」、売上高137%成長 理由は?

» 2025年05月28日 18時22分 公開
[小松恋ITmedia]

 オーダースーツが、若者にとって身近な存在になりつつあるようだ。

 オーダーメードスーツブランド「KASHIYAMA」を展開するオンワードパーソナルスタイルが発表した2024年度の決算で、売上高は62億円(前年比137%)を記録した。リアル店舗の売上高は前年比152%と、過去最高を更新している。

「KASHIYAMA」を展開するオンワードパーソナルスタイルが2024年度の決算を発表

成長を後押したのは「積極的な店舗展開」「マーケティング戦略」

 KASHIYAMAは「オーダーメードの民主化」を掲げ、2017年にオーダーメードスーツの販売を開始した。スーツは税込で3万3000円からという低価格帯を実現。最新のCAD・CAMを導入した自社グループ工場から直接自宅に届ける「ファクトリー・トゥ・カスタマー方式」により最短1週間での納品を可能にしている。

リアル店舗の売上高

 新規顧客数は、前年比152%を達成した。「初回限定20%オフ」など、初めてオーダースーツを購入する際のハードルを下げる施策が、新規顧客獲得に寄与した。

 また、若年層や初回購入者を対象に「学割」キャンペーンも実施し、売上高は前年比192%に拡大した。内訳はメンズ210%、ウィメンズ171%といずれも好調。中でもウール100%の高価格帯(学割価格4万円)が人気を集め、前年比621%と大幅な売上増となった。

 シワの回復性に優れるウール100%素材は、就職活動や新社会人などスーツの着用頻度が高い層からの支持を集めた。これが、売上増加の要因となっている。

新規顧客獲得数

 10代の顧客数は前年比260%、20代は137%と大きく伸長した。高価なイメージが強かったオーダースーツが、KASHIYAMAの価格設定や各種キャンペーンによって、若年層にも現実的な選択肢として受け入れられるようになったことが要因とみられる。

10代と20代の顧客数の昨対比,i

 2024年度は、オーダースーツ初心者層の取り込みやウィメンズライン拡充が業績拡大をけん引。デジタルマーケティングやキャンペーンが、新規顧客の獲得と既存顧客のリピート率向上に貢献した。

 今後、KASHIYAMAは多角的なコミュニケーション戦略を展開し、ブランド認知のさらなる拡大を目指す。また、地方での店舗拡大や売り場面積の増床を計画しており、より多くの顧客に質の高いオーダースーツ体験を提供していく方針だ。

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