――百貨店での展示販売は、どのくらい実施していますか。
名古屋の三越さんや松坂屋さんでの展示は、担当の方がいろいろと手配をしてくださり、もう20回以上になります。展示では作品の点数も多く、グッズもたくさん並べます。会期中は毎日通って、顧客と直接話をして対応できるので、非日常的な体験としてとても楽しんでいます。
近いところでは8月13〜19日、愛知県の名古屋栄三越の3階で午前10時から午後8時まで「まつやまたかし展」という展示販売をします。私も毎日店頭に立っています。1週間通しなので体力的にはなかなか大変ですが、これも非日常的な体験として楽しみにしています。今回はやりませんが、過去の展示販売では、その場でライブペインティングをやったことがあります。
――自身の作品の展示販売の場として、ギャラリーではなく百貨店を選ぶことに、何かこだわりがあるのでしょうか。
実は、最初は銀座などにある、ギャラリーで展示をやってみたいと思っていたんです。実際に一度大きな作品を持ち込んだことがあります。ただ、私が作るのはデジタルの作品ですから、原画の一点ものを求める客層と合いませんでした。
ギャラリーの方にも「作品としては面白いけれど、うちのギャラリーではちょっと違うかな」と言われてしまったことがありました。その後すぐに百貨店から展示のお話をいただいたんです。
――百貨店での展示には最初どんな印象を持ちましたか。
最初は正直、「百貨店で自分の作品が売れるのかな?」と半信半疑でした。婦人服や子ども服売り場のようなフロアでの開催でしたし、グッズの種類も少なかったですから。でも実際にやってみると、想像以上によく売れたんです。それから名古屋の松坂屋でもやることになり、通りに面した1階の路面店で開催したのですが、そこでも来場者がふらっと立ち寄ってくださって、気に入ったものを買っていただけました。百貨店ならではの発見がありました。
それ以来、いろいろな百貨店から声をかけていただくようになりました。百貨店だと、ギャラリーに比べて幅広い層の方が来店されますし、今まで自分の作品を知らなかった方とも出会えるのが最大の魅力ですね。老舗の百貨店では、やはりしっかり見てくださる来場者も多いですし、作品の新しいファンにも出会えるので、ありがたく思っています。
――絵画は百貨店では50〜60万円といった価格帯が中心のようですが、自身のショップだと違いはありますか。
展示販売しているものには、一点物の原画と、”MOTOR PANICシリーズ”のジクレー版画がありますが、自分の店で販売する場合も価格は統一しています。
百貨店での展示以外にも、全国各地で催されるイベントに出品することがあります。例えば大阪の帝国ホテルで開かれるような大きな催事にも参加しています。2024年は、そうしたイベントに出品したところ、当日で全て完売しました。現場でその場で描き始めて、まだ下書きの段階なのに「これを買います」とおっしゃってくれる方もいらっしゃいましたね。
――絵画販売では、例えばオークションになると20%程度の手数料が取られると聞きます。ギャラリーやイベントでの販売も、結構な仲介料がかかるのですか。
そうですね。オークションには出したことがないので分かりませんが、催事の規模によっては(ギャラリーから)40%から50%程度引かれることもあります。なかなか大きな割合ですが、それでも売れるときはしっかり売れるのが、こうした販売形式の面白いところです。
――自身の店頭での作品やグッズ販売は、まつやまさんの経営の中では、どんな位置付けになっているのでしょうか。
普段、展示でご覧いただくような原画や小さめの作品のほか、Tシャツやタオル、スマホケース、絵本といったグッズも取りそろえています。ステッカーやキーホルダー、ポストカードといった手軽に楽しんでもらえるものも用意しています。
オリジナルグッズに関しては最初、クリアファイルや絵本ぐらいしかなかったのですが、ファンの方からのニーズを受けて、徐々にアイテムを増やしてきました。原画など高額なものには手が出なくても、何かイラストが欲しいという声が多く、そうした需要に応えられるよう意識しています。
――グッズの売れ行きはいかがですか。
オリジナルグッズもコンスタントに売れています。一番売れるのはオリジナルTシャツやタオル、「トムとジェリー」のさがし絵本ですね。新しいグッズを作るにも最低ロットがあるので、投資となり在庫を抱えることになります。よく売れる物や全く売れない物があるので、ある意味”賭け”ですね。なので無闇には出さず、市場で製品になっている物を参考にしながら慎重に増やしています。
――グッズはまつやまさん自身で制作しているのですか。
基本的にグッズは、自分たちで考えたアイデアを、外注で作ってもらっています。スマホケースは千葉の業者さんですし、Tシャツやステッカー類は、友人の名古屋の業者さんにお願いし、いろいろなつながりを生かして制作しています。
――古着店では今後、どんな展開を考えていますか。
もっと面白いモノを増やして楽しいショップにしたいと思っています。InstagramやGoogle マップなどで知っていただき、わざわざ見に来てくださる方が多いのは本当にありがたいことです。毎日、未知の出会いがあり、そうした方々と直接お話できる場所を持てたことがとても楽しいですね。
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