「東京2020」のときも「日本再生の起爆剤」がうたわれたが、「感動をありがとう!」と大盛況で終了しただけで、こうした目標に対する評価はほとんどなされなかった。
今回も状況は同じだ。万博大成功の祝賀ムードの中で、「本当にあれが起爆剤になったの?」なんて水を差すようなことを言う人は、筆者を含めて数えるほどしかいない。
事後検証が行われないというのは、権力者や為政者にとってこれほどありがたい話はない。ということは、今後もまた「○○を起爆剤に日本復活!」みたいなことが、繰り返されるのだ。
万博の跡地には「MGM大阪」というカジノリゾートができる予定なので「カジノを日本の起爆剤に!」という機運が盛り上がるだろう。政局が不安定な中で「減税を日本成長の起爆剤に!」という政策も再び注目されそうだ。
どちらも専門家の分析では、たいした起爆剤にもならないという結果が出ているが、万博だって押し通したのだから、どちらもそれなりに盛り上がるはずだ。
しかし、日本低迷の根本原因は「人口減少」だ。税金を払う現役世代が激減して、高齢者の急増で社会保障費も爆増しているので、あれも起爆剤、これも起爆剤とやっても結局は「不発」に終わる。
万博は盛り上がったけど、何の起爆剤にもならなかった――。このシビアな現実を受け入れて、地に足の付いた経済政策を進めていく。実は、これこそが万博の最大の「効果」になるのではないか。
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。窪田順生のYouTube『地下メンタリーチャンネル』
近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受
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