こう考えると、ポイ活をめぐる企業とユーザーの関係は、対立というより「プロレス」に近い。
企業は「お得なキャンペーン」というエサをまく。ポイ活ユーザーが飛びつき、SNSで拡散する。一般ユーザーが流入する。頃合いを見て企業が条件を絞る。ポイ活ユーザーが「改悪だ!」と叫ぶ。その声もまた拡散され、話題になる。
叫ぶ側も、叫ばれる側も、実はお互いの役割を分かっている。激しくぶつかっているように見えて、どこかで利害が一致している。観客(一般ユーザー)を楽しませ、巻き込むための興行。それがポイ活という名のプロレスだ。
もちろん、度が過ぎればケガをする。PayPayの100億円キャンペーンでは不正利用が横行し、企業側が痛い目を見た。ユーザー側も、改悪が続けば本当に離れていく。このプロレスにも限度がある。
だが、少なくとも今のところ、この興行は続いている。次に「改悪だ!」という声が聞こえてきたら、少し冷静な目で見てみるといい。リングの上で関節技をかけ合う両者は、実は控え室で談笑しているのかもしれない。
金融・Fintechジャーナリスト。2000年よりWebメディア運営に従事し、アイティメディア社にて複数媒体の創刊編集長を務めたほか、ビジネスメディアやねとらぼなどの創刊に携わる。2023年に独立し、ネット証券やネット銀行、仮想通貨業界などのネット金融のほか、Fintech業界の取材を続けている。
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