そこで、回転寿司チェーンの立場になって考えていただきたい。
自分たちが提供する寿司よりも安く、ネタも大きい角上魚類のパック寿司は、「目の上のタンコブ」のような存在だ。しかも、政府が肝いりで進めている「食品の消費税ゼロ」が実現した場合、さらに安くなるので、人気が一段と高まる恐れがある。
これは回転寿司業界にとって非常に大きなリスクだ。
「角上魚類の寿司」が人気を集めていると聞けば、当然、競合の鮮魚専門店チェーンもこの分野に力を入れていく。「食料品の消費税ゼロ」という追い風もあるので、東証プライム市場に上場している「魚力」、北海道から岡山までデパートや商業施設で店舗を展開する「中島水産」、地場の鮮魚専門店、スーパーの鮮魚コーナーなどが、それぞれの強みを生かした「回転寿司より安くてうまいパック寿司」を打ち出していくのだ。
そうなると、いつもはスシローやはま寿司に足しげく通う回転寿司ファンたちが、こんな「不都合な真実」に気付いてしまう。
「えっ? 消費減税でお得だからって一度試しにパック寿司買ってみたけど、クオリティーも価格も回転寿司行くよりもぜんぜん良くない?」
つまり、今回の消費減税によって大手回転寿司チェーンですぐに客離れが起きなくても、角上魚類のような「パック寿司」の魅力が広まるきっかけとなって、中長期的には回転寿司への顧客ロイヤルティー(消費者が商品に対して抱く信頼や愛着)が低下していく恐れがあるのだ。
という話をすると、スシローやはま寿司のファンからは「回転寿司ってのはラーメンとかスイーツとか、寿司以外のメニューも充実しているからパック寿司にはない楽しみがあるんだよ」という反論があるだろう。
筆者もそう思う。飲食店は、ただ「安くてうまい」を提供するだけではなく、「食事の場の楽しさ」「食べる喜び」も提供するエンターテインメント企業であるべきだと思っている。スシローやはま寿司などは、そうした価値も高めている優れた外食チェーンである。
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