これだけ好調な商品だが、なぜ実店舗でも販売しないのか。理由の一つはオペレーション上の課題だ。のりの管理は工場の専用ラインで行っており、寺本氏によると「のりはデリケートで、店舗では品質を維持しにくい」という。加えて、アフターオーダー制のモスには、完成品をストックする仕組みがないことも課題となっている。
一方で、店舗との連携を段階的に広げる動きもある。2023〜24年には、冷凍食品の自販機を店頭に設置したところ、店舗でのライスバーガー購入が伸びる効果もあったという。ただし、夏場は売り上げが落ち込んだことから、通年運用には商品ラインアップの幅が課題として残った。
同社の2025年中期経営計画では、MD事業が正式に事業の柱に組み込まれた。ECと外部販売の2つのチャネルを確立し、店舗以外でもブランドに接する機会を広げていく方針だ。
「モスは、駅前に大量出店しているチェーンではない。ECなら家庭にモスが届く。ブランドを日常に溶け込ませることが一番の目的だ」(中野氏)。ECでは食品に加え、アパレルやエコバッグといった日用品も展開し、接触機会を広げている。
のり弁の第2弾は、すでに開発が進んでおり、「のりが噛(か)み切りにくい」という声を受けて改良を施した。当初、断念したハンバーガーの冷凍化も、依然として目標に据えている。EC全体の売り上げは、2026年に前年比1.7倍を目指す方針だ。
店舗では届かない顧客にブランドを届け、日常にモスを根付かせる。ECを「第2の売り場」ではなく、「ブランドとの接触を延長する手段」と位置付けるモスの戦略が、今後どこまで実を結ぶか注目だ。
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