出前館は、筆頭株主のLINEヤフーが約4割の株式を保有し、ソフトバンクグループ傘下に位置する。2024年以降はLINEヤフーと組んだクイックコマース(日用品・生鮮の即配)の全国展開や、LINEヤフー会員向けの配送料無料、一部店舗での店頭同額販売など、打てる手はかなり打っているようにみえる。
だがコスト構造を考えると筋は悪い。配送料無料と店頭同額販売は、消費者から見れば便利だが、事業者側は配送原価を丸呑みする設計になりやすい。
GMV(流通取引総額)やオーダー数は一時持ち直しても、粗利は削られている。こうした状況が今後の成長ストーリーに影を落としている。
一時期、LINEなどの「スーパーアプリ化」といった用語も流行ったが、こちらも生成AIブームの前ではもはや「死語」になりつつある。LINEスーパーアプリ経済圏のハブとして出前館を維持するにしても、上場子会社のまま赤字を垂れ流し続ける構図は、株主への説明がつかないのではないか。
一部のアナリストやメディアからは「LINEヤフーによるTOB(公開買付)で非公開化し、経済圏に完全統合してから再構築するのではないか」というシナリオまでささやかれている。
ここまで述べてきたことをまとめると「結局Uberの一人勝ちで終わり」という結論になるが、目線を一歩引くと、留保すべき論点が3つ残る。
そもそも、Uberですら日本単体で高収益を確立できているか、定かではない。米Uberは2024年以降、連結ベースでは営業黒字・フリーキャッシュフロー黒字に転じたが、それは配車事業・広告事業・食品デリバリーを束ねた結果だ。
日本のフードデリバリーセグメント単体の採算は非開示で、楽天との提携による販促はむしろ先行投資の色が濃い。勝ったというより最後まで耐えたという言い方が近いかもしれない。
市場を独占できれば値上げに踏み切れるというのが教科書的な流れだが、飲食店自身が割安な配送サービスを提供しつつある環境を踏まえると、UberEats一強になったとしてそれが本当に市場を独占しているのかについては疑問符が付く。
また、市場そのものが成長鈍化・縮小のフェーズに入っている。外食・中食市場情報サービスを提供するサカーナ・ジャパンによれば、2025年の日本のデリバリー市場規模は8240億円で、前年比2%増と、成長率はとても高いとはいえない水準だ。
消費者にとっては、外食全般が値上がりしているのに、さらに高く買わなければならないフードデリバリーを利用する余裕がなくなりつつあるのだろう。
直近、フードデリバリー各社は「お店と同じ値段で買える」という趣旨のキャンペーンを行なっているが、配送にコストがかかり、それを誰かが負担する以上、持続可能な施策とはいいがたい。
フードデリバリー業界はUberが生き残りつつある。しかし莫大な先行投資を行い、最後まで立ち続けた同社が本当の「勝者」といえるかは、もう少し後になってから明らかになるだろう。
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