ANAにとって、クレジットカードやスマホの決済手数料の収益化や、カード利用客の膨大な生活データの把握は、航空事業のボラティリティを相殺する強力な安定剤となる。原油高や円安、紛争といった外部環境に翻弄されるリスクを減らすための施策なのだ。
航空会社から「決済プラットフォーマー」へ――。ANAのSFC改定は、航空会社という「サービス業」の枠を超え「決済プラットフォーマー」への移行を宣言したものと解釈できる。顧客に対し、決済実績という「金融的な貢献」を求めるビジネスモデルに変えたのだ。
ANAの戦略の本質は、圧倒的なサービスラインアップによる「生活の包囲」にある。その「生活包囲網」の具体例は多岐にわたる。
オンラインショッピングの「ANA Mall」、移動距離をポイント化する「ANA Pocket」、さらには電気・ガスの「ANAでんき・ANAガス」に加え「ANAの保険」「ANAの住まい・ANAの住宅ローン」「ANAモバイル」まで、あらゆる接点にマイルを介在させている。これを活用する「陸マイラー」という言葉も定着して久しい。
これらの利用実績は、マイルが貯(た)まるだけでなく、年間の搭乗実績が通常より少なくても「ダイヤモンド」「プラチナ」といった上級会員の資格を与える「ライフソリューションサービス」(LS)に直結する。
これまでの顧客接点は不定期な「点」(搭乗)だったが、これからは継続的な「面」(生活インフラ)へと変えていく。ANAの「生活包囲」戦略は、JALや他ジャンル経済圏への流出を阻止する「防衛網」の役割も果たす。
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