「マグロより高いコーヒー豆」を落札し続けた、茨城の喫茶チェーン 倒産相次ぐ中で、年商25億円(7/7 ページ)

» 2026年05月29日 07時30分 公開
[高井尚之ITmedia]
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ブルーボトルとの違いは「生活文化の深化」

 現在、サザコーヒーが課題として認識しているのが「属人性」からの脱却だ。社長による独自の発案や、熟練バリスタの抽出技術など、“その人だからできる”部分が多いことは、裏を返せば再現性の難しさでもある。

 「例えば、コーヒーマシンはかなり進化しています。自動抽出器を細かく設定し、AIを活用すれば、国内トップレベルのバリスタの味をコーヒーマシンで再現することも可能になってきました。今後は、熟練バリスタがコーヒーマシンの開発や設定にも関わることで、味の再現性を高めていくことを考えています」

 もっとも、完全自動化を目指しているわけではない。人の手を介した“手づくり感”とのバランスも意識する。

 こうしたサザコーヒーの立ち位置を考えるうえで、比較対象として挙がるのが「ブルーボトル」だろう。同ブランドは国内30店規模ながら、木目を基調にしたシンプルな空間設計と、注文ごとにコーヒーを丁寧に抽出するスタイルで支持を広げてきた。大量出店でコモディティ化したスタバとも一線を画す。

ブルーボトルコーヒー(画像:Blue Bottle Coffee Japan プレスリリースより)

 2024年には名古屋・栄への出店で長蛇の列を生み、2025年には名古屋駅前にも出店した。地方初出店時の熱狂は、かつての「スターバックス地方展開」を思わせるほどだった。

 ただ、サザコーヒーはブルーボトルとも方向性が異なる。サザコーヒーが重視してきたのは、前述したブラジルの「パダリア」のように、コーヒーだけで完結しない店づくりだ。

 パンやスイーツ、軽食、イベントも含め、“店で過ごす時間”そのものを提案してきた。ブルーボトルが都市部の高感度層に支持されるブランドだとすれば、サザコーヒーはコーヒー好きだけでなく、飲食や空間そのものを楽しみたい客層にも支持を広げている。

 「後編」では、創業者・鈴木誉志男会長の活動を紹介する。

看板商品の「将軍珈琲」は金色カップでも提供される(画像:筆者撮影)

著者紹介:高井 尚之(たかい・なおゆき/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント)

日本実業出版社の編集者、花王の情報作成部・企画ライターを経て2004年から現職。出版社とメーカーでの組織人経験を生かし、企業の経営者や現場担当者の取材をし続ける。足で稼いだ企業事例・ブランド事例の分析は、講演・セミナーでも好評を博す。

20年続く人気カフェづくりの本 ―茨城・勝田の名店『サザコーヒー』に学ぶ」(プレジデント社)、「なぜ、人はスガキヤに行くとホッとするのか?」(同)、「カフェと日本人」(講談社現代新書)、「『解』は己の中にあり」(講談社)、「日本カフェ興亡記」(日本経済新聞出版社)など著書多数。 E-Mail: k2takai@ymail.ne.jp


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