今回の中計を分析する上で、まずは前回の中計でイオンが何を構築してきたのかを確認しておきたい。
前回の中計では、商品・サプライチェーン、デジタル、ヘルス&ウエルネス、イオン生活圏、アジアシフトの5つが主要な戦略軸だった。
その前の中計では、デジタルシフト、アジアシフト、大都市シフト、シニアシフトという4つの成長領域が掲げられていた。DXやアジア展開は前回中計にも引き継がれているが、より注目すべきは、国内小売の基盤強化が前面に出てきた点である。
具体的には、商品・サプライチェーンを強化し、プライベートブランド(PB)の売り上げを1兆7000億円規模まで拡大した。また、セルフレジの導入やネットスーパーの基盤整備、アプリ会員の拡大など、店舗のデジタル化も進めてきた。
さらに、ドラッグストアでは国内最大シェアを持つ連合体を形成し、スーパーでは全国の各地域の会社を完全子会社化するなど、地域ごとの事業基盤も整えてきた。つまり前回の中計は、イオンが強みを持つスーパー、ドラッグストア、モールなどの分野で、より稼ぐための土台を固めた期間だったのである。
一方で、今回の中計は、その成果を前提に組み立てられている。これまでに構築してきた商品基盤、PBの品ぞろえ、DX基盤を活用し、既存の強い事業から5年間で3兆6000億円のキャッシュを生み出す。そして、その資金を成長分野、食品インフラ、M&Aへ投じていくという考え方が、今回の計画ではより明確に示されている。
今回の中計のストーリー自体に違和感はない。ただ、これまでと異なるのは、直接収益につながる店舗投資やECチャネルへの投資に加え、食品インフラとM&Aにも相当額のキャッシュを投入すると明言している点である。
これは今回の中計が単なる5年間の成長計画ではなく、さらに「その先」を見据えた基盤構築の計画であることを示している。では、イオンが考える「その先」のストーリーとは何なのか。
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