小売市場にとって、未曽有の大転換期であることは、イオンのライバル達の最近の動向を見ても明白だ。
オーケーが大阪に進出、ロピアはイトーヨーカ堂の跡地を次々と狙い、トライアルが西友を高値で買収、ドン・キホーテを運営するPPIHは新業態ロビン・フッドを鳴り物入りでリリースした。バローは関西、関東へと進出スピードを上げつつ、ホームセンター3位のコーナン商事と資本提携した。バローの狙いは、関西や首都圏のコーナン店舗内にスーパーを大量出店することが主な目的である。そしてヤオコーがブルーゾーンHDを立ち上げ、地場有力スーパー再編を掲げた。これらは全て、前述の10兆円市場を狙おうとしている動きである。
人件費が継続的に上昇していく時代には、これまでのインストア型スーパーは少しずつ淘汰(とうた)され、センター供給インフラを持った大手スーパーが市場を再分割する。そしてインフラ投資可能な大手企業によって寡占化が進み、そのシェアは7割程度までは割と早く進むだろう。これにはスーパーだけではなく、コンビニ大手、フード&ドラッグ大手にも当然参加権がある。セブンのSIPストア、ローソンLミニマートなどはその代表例であろう。
地場食品スーパーを積極的に買収して業容を拡大してきたドラッグストア大手クスリのアオキが、イオンと分かれて独立路線に踏み切ったのも、こうした大再編という逆転のチャンスがあるからだろう。
この話をすると、「イオンのスーパーはあまり特徴がない。地元スーパーの方が多くの客でにぎわっているのに、本当に勝てるのか」という疑問の声も聞かれる。
確かに、各地に展開するイオン各社の店舗は、店舗単位で見れば必ずしも一番店とは言えないかもしれない。しかし、イオンの強さは店舗単体の魅力だけではない。強固なインフラを持っているため、損益分岐点が低い。言い換えれば、“大きな売り上げを確保できなくても潰れにくい店”なのである。
人口減少と市場縮小は、今後も既存店の売り上げに下方圧力をかけ続ける。その環境下では、最後まで残れる店をつくるためのインフラが、より重要になる。
イオンは、まさにそのインフラを強化しようとしている。多くの地域で、最後まで残れるスーパーになる可能性は高いだろう。
一見すると、イオンが増やしているのは、おもしろみに欠ける標準的なスーパーに見えるかもしれない。しかし、今回の中計のすごみは、その標準化の先にある。5年後、10年後になって初めて、その意味がよりはっきり見えてくるのだろう。
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