それでは、組織の状態を4つに分類してみたい。切り口は「何でも言えるかどうか」である。このように分けると、さらにハッキリするはずだ。
多くの管理職が目指すのは(1)「上司も言える・部下も言える」だ。しかし、実際に陥りやすいのは(4)「上司も言えない・部下も言えない」だろう。
ハラスメントへの過剰な恐れから、上司が「厳しいことを言わない」選択をする。部下もそれを察し、意見を言わなくなる。表面上は穏やかで、みんな仲良く、誰も傷つかない。だから管理職は「いいチームだ」と勘違いする。
しかしそこに成長はない。変化もない。問題が起きても誰も声を上げず、じわじわと組織が腐っていく。
パーソル総合研究所の調査によると、上司の81.7%が「厳しく叱咤(しった)しない」と回避的な姿勢を示している。管理職の多くが「ハラスメント回避的」な行動をとっているのだ。こうした数字が、いかに(4)の組織が量産されているかを物語っている。
歴史のある多くの企業が、危機に直面しても変革できない「茹でガエル現象」を味わう。
熱いお湯にカエルを入れると驚いて飛び跳ねる。しかし、常温の水に入れてじわじわと熱していくと、その水温に慣れていき、跳躍することなく死んでしまう。こんな状態を「茹でガエル現象」と呼ぶ。
「ぬるま湯組織」には、この現象が起きているのだ。
「うちは雰囲気がいい」と言いながら、毎年少しずつ売り上げが落ちる。誰も声を上げないから問題が顕在化しない。マネジャーは数字を見て不安を感じながらも「まあ大丈夫だろう」と先送りする。そして気付いたときには、手の施しようがない状態になっている。
逆に「健全な衝突」がある組織は、変わることができる。自動車メーカーのマツダは過去に大きな経営危機を何度も経験したが、その都度立て直してきた。社内で「このままではダメだ」という声が上がり続け、変革への議論が絶えなかったからだ。居心地のいい組織ではなかったかもしれない。しかし、言うべきことを言える組織だった。
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