現在ではクリスマスシーズンになると開店直後から来店客が訪れ、県外客や海外観光客も多く立ち寄る人気店となったクリスマスランド。繁忙期には入店制限を実施することもあるという。
しかし、その歩みは順風満帆ではなかった。 実は開業から約7年間、赤字経営が続いていた。宮城氏によると、2013年のオープン当初は別テナントの一角で営業していたが、採算が合わず、一度閉店。その後、営業形態を見直しながら、2017年に現在の建物2階で再スタートした。
だが、その後も苦戦は続いた。
「再オープンしたときも認知度はほとんどありませんでした。シーズン外は週2〜3日の営業で、売り上げがゼロの日もありました」と宮城氏は振り返る。当時は、まず「沖縄にクリスマス専門店がある」という存在そのものを知ってもらう必要があった。ガイドブックへの掲載などを通じて少しずつ認知は広がったものの、来店客は限られていた。
一般的な小売業であれば、7年もの赤字が続けば撤退を検討しても不思議ではない。しかし、クリスマスランドの運営会社の奥原商事(沖縄県北谷町)は、同店の営業を続けた。
背景にあったのは、同社が以前から取り組んできたクリスマスを軸とした地域活性化だ。沖縄は夏場の観光需要が大きい一方で、冬場は観光客が減少しやすい。そのため奥原商事は、行政や他の店舗と協力しながら、街中にクリスマスツリーを設置したり、イルミネーションの飾り付けをしたりと、クリスマスを楽しめる空間づくりを進めてきた。地域の魅力を高め、冬の集客につなげる狙いがあった。
こうした取り組みの中で、同社はクリスマスランドを単なる雑貨店ではなく、クリスマスを盛り上げる存在として位置付けていた。
ただし、それは赤字を容認していたという意味ではない。
宮城氏はもともと海外雑貨のバイヤーとして、長年商品調達に携わっていた。来店客の反応を見ながら仕入れの精度を高め、徐々に商品ラインアップを拡充。沖縄限定商品など、来店客のニーズを反映した商品開発にも取り組んだ。
転機となったのは2021年の店舗拡張だ。2020年のクリスマスシーズンの売上目標を達成したことから、奥原商事はクリスマスランドの店舗拡張を決断。コロナ禍だったこともあり、店舗を休業して拡張工事を進めた。
2017年から営業していた2階店舗は知る人ぞ知る存在だったが、2021年5月のリニューアルオープンでは1階部分へ拡張し、路面から直接入店できる現在の形になった。1階は通年営業の雑貨フロア、2階はシーズン限定のクリスマスツリー売り場として展開。これまでスペース不足で扱えなかった大型のクリスマスツリーや新しい種類の雑貨を販売できるようになり、商品数は約1000種類から3000種類超へと大幅に増加した。
「2階にあった頃は、知っている人だけが来る店でした。でも1階に移ってからは、通りがかりのお客さまもふらっと入店されるようになりました」
特別な広告施策を打ったわけではない。路面から直接入店できるようになったことで、観光客の来店が増加した。さらに、リニューアルに合わせて店頭の演出も見直した。
クリスマスにちなんだ兵隊のオブジェを入り口の左右に配置し、ブドウの木でできたアーチを設けた。人はアーチ状の装飾や左右対称のオブジェを見ると、そこを入り口として認識しやすいとされているため、店舗の場所や入り口が一目で分かるような工夫を施したという。その他、クリスマスツリーを連想させる植物やトナカイの角のような形状の植物も取り入れ、店舗全体でクリスマスの世界観を表現した。
クリスマスシーズンには、デポアイランド内の店舗と連携し、サンタクロースの衣装を着たスタッフがクリスマスランド前に登場するなど、街全体でクリスマスムードを盛り上げる取り組みも行った。
こうした店舗の外観や演出が写真スポットとしてSNSで広まったことで、認知度向上や来店者数の増加につながり、2021年度から収支が改善し始めた。
入店制限が必要になるほど来店客が増えたことで、「シーズン中は混雑するから、今のうちに買っておこう」という常連客も増加。これまで閑散期だった時期にも客が訪れるようになった。こうした変化を受け、店舗は2024年から通年で毎日営業する体制へ移行した。
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