スシローの件によって、あれだけ「外食チェーン店での衛生的迷惑行為」が問題視されたにもかかわらず、今なおこうした事案は繰り返されている。なぜ終わりが見えないのだろうか。
その背景を考えてみると、ひとえに「迷惑行為動画がSNSでの再生数や収益増につながるから」という理由が見えてくる。極端なことを言えば、SNSに上げられたあらゆる動画は、他人に見られなければ意味がない。その目的が金銭的なものなのか、承認欲求なのかは人それぞれだろうが、いずれにせよ「少しでも多く見られたい」と思うのは、表現者の心理として理解できる。
そして、人に興味を持ってもらうための近道は“ショッキングな映像”だ。最近ではAIが生成した動画が、その代替になりつつあるが、非常識な光景=見たことのない映像には、常に一定の需要がある。
そこで問われるのが、SNSや動画共有サイトのようなプラットフォーマーの責任だ。あくまで「場を提供しているだけ」であり、「ユーザーの表現の自由を担保している」との立場を取っているが、「単なる責任逃れではないか」という批判も多く出ている。
しかし、プラットフォーマーが放任主義を貫けない時代になってきた。2025年4月には、日本国内でも「情報流通プラットフォーム対処法(情プラ法)」が施行され、誹謗中傷や権利侵害に対して、SNS事業者が迅速な対応を取るよう義務付けられた。
“客テロ動画”については、情プラ法ではなく、威力業務妨害(執拗にクレームを伝えるなどの行為によって人の業務を妨害すること)という既存の法規制によって対処されている。ただ、時代の流れを考えると、こちらにも今後、適用の気運が高まってくる可能性は高いだろう。
客テロ動画が投稿・拡散された際に、プラットフォーマー側が取り得る対策としては、アルゴリズムによる投稿の非表示・非収益化やアカウントのBAN(削除やアクセス禁止)などが考えられる。
ただし介入が過ぎると、「検閲だ」と言われかねない。実務的には、投稿直後の対応は難しく、一定量の拡散を待ってからの行動を余儀なくされるだろう。収益目的の客テロ投稿であれば、広告収入を没収すれば制裁を加えられる。
しかし、承認欲求を目的とした投稿だった場合、一時的にでもバズってしまえば、すでに相手の目標は達成されてしまっている。となれば、やはり「投稿される前に、どのような予防策を講じるか」が重要になってくる。
そこでカギを握るのが、被害を受ける企業側だ。なぜ一方的に加害されているのに、人的・金銭的コストをかける必要があるのかという問いはあって当然だ。しかしながら、この情報化社会において、SNSの自衛策は「ブランド力を向上する投資」と認識するのが良いだろう。
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