“コンビニ書店化”はなぜ広がらなかったのか 本を売るほど「本離れ」が進む理由スピン経済の歩き方(2/7 ページ)

» 2026年06月10日 08時00分 公開
[窪田順生ITmedia]

「コンビニの書店強化」が大コケすると思う理由

 2019年11月26日の本連載記事「『コンビニの書店強化』が大コケすると思う、これだけの理由」の中で、以下のように述べている。

 短期的には「売れた」「便利だ」となるかもしれないが、中長期的には大コケするのではないかと思っている。コンビニの雑誌と同じ道をたどって売り上げが伸び悩み、陳列や返品作業などでバイト店員の負担を増すだけという結果になってしまうのだ。

 いや、もっと言ってしまうと、もしコンビニが本格的に「客と本を結びつける場」になってしまったら、いよいよ日本の出版文化はおしまいである。電子書籍だ、Amazonだと苦境に立たされる書店にトドメを刺すようなことになるからだ。

 この「未来予測」は当時、厳しい批判を受けた。「コンビニの棚でどれだけ本が売れているのか知らない素人は黙ってろ!」「出版文化を守ろうと頑張る人々の足を引っ張るようなことを言うな!」と関係各位の怒りを買い、出版社勤務時代の先輩からもお叱りを受けた。

 だが、時がたってみると、自分で言うのも気が引けるが、現実は筆者の予測通りになっている。

最初は物珍しさでベストセラーも出たが……(出典:ゲッティイメージズ)

 コンビニの書店強化が叫ばれ始めた当初は、物珍しさから購入する人もいて、コンビニ発のベストセラーも生まれた。しかし、次第に売り上げが低迷して書籍棚が縮小、2025年3月にはローソンとファミマの計約1万店で雑誌配送が終了。2025年10月には、セブンが店舗の収益性を上げるため、売れ行きがよくない雑誌棚を半分以下に減らす計画を発表した。筆者が指摘したように、採算が取れないわりに、配送や陳列など現場の負担が重すぎるからである。

 そして、苦境にあえぐ書店にトドメを刺すことにもなった。小説、新書、ビジネス書、自己啓発本などをコンビニの書籍棚で売れば売るほど、皮肉なことに「本離れ」がこれまで以上に加速したのである。

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