皮肉な話だが、本を「効率よく売ろう」とすればするほど、本来の強みが失われる。「数字」を取るためには、著者をインフルエンサー化し、SNSで話題になることを重視せざるを得ない。しかし、そうなると読者はわざわざ本を買うよりも、そのインフルエンサーの動画を見たり、SNS上の話題を追ったりするだけで満足してしまう。
つまり、このような「評価経済」の中でSNSのノリで、サクサクと効率よく「紙の本」を売っていくことなどできるわけがないのだ。しかし、それでも流通システムは「本を売る」ことを第一にまわっていくので、そのしわ寄せは全て弱者へいく。そう、書店である。
日本の政策や企業戦略には、こういうパターンが非常に多い。目先の利益にとらわれるあまり、「こうすれば売れる」「数字が取れる」と突き進むのだが、実はそれは現場の人間を「捨て石」にして、システムの上流にいる人々の延命を図っているだけなのだ。
「本離れ」を食い止めようというのならば、まずは読者と最も接点を持っている書店から守るのが筋だ。
そのためには、これまでの旧態依然とした流通システムを根本から見直すべきだ。例えば、書店を「本のショールーム」化して、取次の販売システムから解放する。
本のコンシェルジュ機能、作家イベント開催、試し読みができるラウンジなどの「本との出会い」に特化したスポットに変えてしまう。そこで気に入った本は、利用者が出版社に直接ネット注文をする。そのたびに書店はマージンをもらう。
「バカバカしい」と思うかもしれない。しかし、書店をいつまでも「本を売る」という戦いの最前線で“捨て石”にしている限り、「本離れ」を食い止めることはできないのではないか。
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。窪田順生のYouTube『地下メンタリーチャンネル』
近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受
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