では、AIを活用しながら、聞き手が腹落ちできる物語を語るには何が必要なのか。次の3つが重要だ。
それでは、一つ一つ解説していこう。
情報の整理や要約は、AIに任せてよい。しかし「なぜこの方針を選んだのか」という解釈の部分は、自分の頭で考えるべきだ。そして、可能であれば資料作成の最後の工程は、自分(もしくは部下)が担うべきだ。ここをAI任せにすると、聞き手は「ラクをしている」「気持ちがこもっていない」という印象を抱く。言葉は整っているのに、なぜか響かない。
きれいに整いすぎた言葉は、かえって不自然に聞こえる。人間性というのは「迷い」の中にあるものだ。だからこそ、少しぐらいは崩した文章に変えたらどうか。また「正直、この方針には迷いがあった」という一言を添えるだけでもいい。そうすることで、聞き手の受け取り方は変わる。迷いは弱さではなく、誠実さの証なのだから。
全てをゼロから生成する必要はない。AIが作った骨組みに、自分の実感や失敗談を一文だけ加えてみる。それだけで、資料に体温が宿る。たった一言が「物語」を生む種になるのだ。
AIは、あくまでも優秀な下書き役だ。「たたき台づくり」「ドラフト生成」には、素晴らしい力を発揮する。しかしその下書きに命を吹き込むのは、リーダー自身の仕事だ。効率を求めるあまり、その最後の工程まで手放してしまえば、言葉はどこまでも軽くなっていく。
これから先、AIを使って資料を作ることは当たり前になっていく。だからこそ、AIを使ったかどうかではなく、そこに自分の解釈や覚悟をどれだけ込めたかで、リーダーの評価は分かれていく。
部下がついていきたいと思うのは、正しい言葉を話すリーダーではない。悩みながらも、自分の言葉で語ろうとするリーダーだ。AIをどれだけ活用しても、その「物語」だけは、決して手放してはならない。
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