――NECは防衛・安全保障関連事業を担うエアロスペース&ナショナルセキュリティ領域で、2030年度に営業利益率10%台後半を目指すとしました。その戦略についてお聞かせください。
世界的に見ると、防衛産業でより高い利益率を出している海外企業があります。防衛というと、日本では特殊な領域に見られがちです。ただ「安全保障」として見たときに、定義や考え方が変わってきていると思います。軍事にも民生にも使える技術を指す「デュアルユース」という言葉が最近使われています。ただ、このデュアルユースという言葉自体が実態を表していません。
むしろ技術という視点では、デュアルユースを考えることは当たり前だと思っています。われわれが携わっている宇宙や海底ケーブル、通信インフラなどのインフラが止まってしまうと、実質的にその安全が脅かされることを過去に経験しています。このようなものを「防衛」という言葉で一括りに議論してよいのかとも思っています。
この領域は宇宙、海底ケーブル、あるいはサイバーセキュリティなど、もはや「防衛か民生か」といった従来の二元論で語る話ではないと考えています。
当然ながら、競争環境はグローバルであり、テクノロジー領域で高い利益率を出している企業は、将来にわたって研究開発や技術開発への投資を続けることができます。そういった意味では、中計で掲げた10%台後半の利益率を上げ続けることは、日本が安全な国であること、日々のインフラの安全を保持する上でも必要なことだと思います。
――海底ケーブル事業では、工事の遅延や追加費用が発生しやすい側面もあると思います。日本のシェアを増やしていくために何が必要だと思いますか?
ここはまさに、この2年で力を入れて変えてきたところです。もともと政府系の通信事業者のコンソーシアムで顧客が構成されていたこともあり、ある意味で不平等な契約条件が多く見られました。海底ケーブルを敷設できる企業は世界で3社しかなく、地理的なメリットもあり、太平洋のプロジェクトではNECに地の利も知見もありますので、きちんとフェアな契約になるよう相当に努力してきました。
船とケーブルと通信を全て理解し、コントロールしていくことが、ビジネスを進めていく上で非常に重要です。国のサポートも得てリスクマネジメントをしながら、船・ケーブル・通信の3要素を確保し、グローバルで競争していきたいと思います。
安全保障の観点では、日本だけでなく、米国やアジア諸国、豪州、欧州などさまざまな国が関わる中で、ケーブルの切断など地政学的な問題も起きています。自由競争だけでは対応できない部分、つまり公平な国際競争が成り立たない部分については、政府側でフェアな競争ができる環境を整えてもらうことが必要です。国にとっても経済安全保障上の大きなメリットがありますし、日本が国際的な役割を果たす上でも貢献できると考えています。
――新幹線改札での実証なども含め、今後の顔認証の普及拡大について、どのようにお考えでしょうか。
安全・安心に対する顔認証の有用性は、認知が進んできたと感じています。ポイントは、本人のコントロール下で利用されている状態を、どう担保していくかです。NECは、自己主権型の顔認証システムをテクノロジーとして持っています。大阪・関西万博の「null2」(ヌルヌル)でも実際に取り組みました。今後はプラットフォーマーに活用してもらうための仕組みづくりや、国による義務化・標準化といったサポートが必要になってきます。
自己主権型の顔認証について、テクノロジー自体はすでにありますので、あとは政府の協力や理解を進めていくことが課題です。世界的に見てもNECが先行して取り組んでいる領域であり、社会的にも個人としても安心できる形で、この技術の利便性を広げていきたいと思います。
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