健康価値や食べやすさといった新たな価値を加える一方で、Umiosが大きく変えていない部分がある。魚肉ソーセージの基本的な形状だ。
現在も市場の主流は、オレンジ色のフィルムに包まれた棒状の商品を複数本束ねたタイプで、Umiosでも一番の売れ筋となっている。
このオレンジ色のフィルムには歴史がある。上山氏によると、本格的な生産を開始した1950年代、魚肉ソーセージは直射日光が当たる店先で販売されることが多く、中身の劣化を防ぐために色付きのフィルムが採用されたという。現在は保存技術や売り場環境も変わっているが、オレンジ色の包装は魚肉ソーセージを想起させる要素として定着している。
料理に使いやすいカット済みタイプや、子ども向けの小さなサイズなど、ニーズに合わせて形状そのものを変えるという選択肢も考えられるが、Umiosは基本的な形を維持してきた。上山氏に尋ねると、製造ラインやコストだけではない理由が返ってきた。
「昔、子どもの頃に食べていた方たちにとって、魚肉ソーセージには『味や形の記憶』があります。見た目を大きく変えてしまうと、魚肉ソーセージのアイデンティティーが崩れてしまうのではと考えています」
一方で、変えるべきところには手を加えてきた。その代表が「ケーシング」と呼ばれる包装フィルムの開けやすさだ。かつて魚肉ソーセージの両端は金具でとめられており、包丁や歯を使って開ける人も少なくなかった。「開けにくい」という声は以前から寄せられており、Umiosはこの不満を解消するため、開封性の改良を続けてきた。
現在の主力商品では「1秒OPEN」を打ち出し、つまんで引っ張るだけで開けられる仕様にしている。ただし、開けやすさを追求しすぎれば、輸送中に包装が破損するリスクも高まる。開封性と耐久性のバランスを取りながら改良を続けてきたという。
健康という付加価値を加え、開けやすさを改善する一方で、見た目や味はできるだけ変えない。魚肉ソーセージは変わっていないようで、変える部分と変えない部分を選んできた商品なのだ。
こうした考え方は、商品の価値づくりにも表れている。魚肉ソーセージは日常的に購入される食品であるため、価格競争に陥りやすい。原材料費や物流費が上昇する中、安さだけを訴求し続けることには限界がある。
そこでUmiosは、魚種や産地にこだわったシリーズや、災害時の備蓄を想定した長期保存タイプなども展開。魚肉ソーセージらしさは守りながら、健康や利便性、防災といった新たな価値を積み重ねることで、価格だけに依存しない商品の魅力を高めようとしている。
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