もっとも、購買前における疑問への回答を充実させること以前に、従来型のFAQすらほとんどの企業で足りていない。
理由は単純だ。寄せられた問い合わせがFAQに載っているかを確認する作業を、企業はほとんどやってこなかったからだ。「来た問い合わせがナレッジに載っているかどうかを確認するすべがなかった」と洛西氏。問い合わせは個別に返して終わり、ナレッジには残らない。どの問い合わせが多いかを順に並べたことのある企業も、ほとんどないという。
コールセンターが使う内部向けFAQを外に出せばよい、という話でもない。内部向けと外部公開向けの中身は「びっくりするぐらい違う」(洛西氏)からだ。内部システムを参照して答える情報が混ざるうえ、返品の判断基準のように、公開すれば悪用される情報も含まれるからだ。公開に耐える形への編集がいる。その規模は、大企業では数千件に及ぶ。紙に刷れば厚さ20センチの束になり、毎年入れ替わる。
Helpfeelが顧客に勧めているのが「受電と突合」だ。電話やメールで受けた問い合わせの記録をナレッジと照合し、回答のない問い合わせを洗い出す。同じ内容の問い合わせをAIで分類し、不足分のナレッジをAIで生成する。公開されたナレッジは自己解決だけでなく、ボイスボットやオペレーターの回答支援にも使われる。
なお、人間向けとAI向けにコンテンツを作り分ける必要はほぼないという。重要な点は、情報同士がリンクでつながっていることだ。AIの誤回答も、多くは公式情報の不足が招く。
公式が不十分だと、AIはレビューなど非公式の情報を拾う。情報を最新かつ正確に保つのは企業の責任――オペレーター教育で当たり前にやってきたことのAI版にすぎないというわけだ。
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