AIに読まれるサポート情報の整備は、問い合わせ削減では終わらない。その先に、AIが購買を仲介する「エージェンティックコマース」への接続がある。
小売りでは動きが始まっている。メルカリは6月、OpenAIの「Apps in ChatGPT」に公式アプリを提供し、ChatGPT上の対話で商品検索や出品準備ができるようにした。金融でも、三菱UFJ銀行でデジタル推進を担う幹部が「AIに金融サービスを理解してもらい、AIが解釈して消費者に伝えていく」ことへの関心を口にする。AIが複数のサービスを横断して消費者を支援する世界では、AIに正しく理解されることが競争条件になるという読みだ。
LIXILの場合、AI経由の調べものは、まだECでの購買にはつながっていない。それでも長崎氏は将来像をこう描く。「サポートページ自体がAIのプラットフォームになっていて、検索から解決、その先の購買までがシームレスな作業として終わる形ができるのがベストだ」。FAQ単体ではなく、LIXILの窓口全体としての考え方だという。
洛西氏の言う「隠す意味はなくなる」は、この文脈では購買の入口の話になる。顧客が企業サイトに来る前に、AIが情報を集め、比較し、候補を提示する。そこで参照されるのは、AIが読める形で公開された情報だけだ。サポート情報を整備した企業とそうでない企業の差は、顧客が来訪する前、汎用AIの回答の中で知らないうちに差が広がっていく世界になる。
FAQの整備は地味な作業だ。だがその積み重ねが、AIに答えてもらえるかを決め、次はAIに売ってもらえるかを決める。カスタマーサポートで始まったAI向けの情報整備は、コマースの競争の前提になりつつある。
ITmedia デジタル戦略EXPO 2026 夏では、各分野の第一人者や企業の現場でビジネス変革に取り組むリーダーの声を通じて、経営×IT×現場のコラボレーションで全社変革を進めるヒントをお届けします。
AIを活用したデジタル戦略が必須となる中、ダイハツ工業や旭化成、NOT A HOTELなどビジネス変革に取り組む企業の「当事者の声」を通じて、現場のリアルな課題解決方法を探ります。視聴登録はこちらから。
書類でよく見る「シヤチハタ不可」、シヤチハタ社長に「実際どう思ってますか?」と聞いたら意外すぎる答えが返ってきた
部下に「仕事は終わってないですが定時なので帰ります」と言われたら、どう答える?
仕事が遅い部下に“あるテクニック”を教えたら、「チーム全体の残業時間」が3割減ったワケ
新入社員「Web会議でカメラオンにする必要なくないですか?」 上司のあなたはどう答える?
宮古島“観光バブル”の代償──倍増した家賃、住めなくなる地元民……変わりゆく現実Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング