――サポート領域と営業領域という2つの取り組みは、成功しやすい条件が共通しているからこそ優先順位を付けやすかったということでしょうか。
優先順位という考え方も一つありますが、それ以上に、どの業務をエージェントに任せるかという視点が重要だと思っています。ユーザーからの問い合わせにはさまざまなパターンがありますが、シンプルで発生頻度の高いものであれば、サポート領域でも営業領域でも同様に、まずエージェントに任せた方がよいと考えています。
例えば「パスワードの再設定」は、特に多い問い合わせです。こうした対応にまだ人が介在している部分があるなら、エージェントだけで完結させた方がよいでしょう。一方で、製品の使い方に関する非常に複雑な問題であれば、入り口は同じエージェントであっても、最初から最後までエージェントだけで対応するのではなく、途中から人に引き継ぐワークフローにした方がよいということになります。
つまり、最初から複雑な問題をどうエージェントに対応させるかを考えるのではなく、まずはシンプルで頻度の高い業務から着手して効果を最大化し、そこから少しずつ対応範囲を広げてチューニングしていく方が、結果的にエージェントが活躍できる領域を着実に広げることにつながると考えています。
――AIエージェントの導入によって、特に投資対効果が高かったと感じている部分はどこでしょうか。
サポート領域では、業務の6割から7割程度をエージェントが人に代わって対応できています。件数が増えても同じ割合で自動的に対応できる点が大きいです。営業領域では、商談数が4〜5割程度増えました。いずれも、データが整備され、業務フローが定型化され、KPIで効果を測れる領域だったからこそ、成果がはっきり見えたのだと考えています。
一方で、全体としてどれくらいの効果があったのかを売り上げベースで捉えられないかという議論も進めていますが、正直なところ、まだ明確な数値として示せる段階には至っていません。エージェントが直接対応している部分以外にも、人が担当している業務の生産性が上がったり、マネジャーの取り組み方が変わることで組織自体が変わっていったりといった副次的な効果があるためです。
こうした履歴が積み重なって、経済効果として表れてくるものだと考えています。測定方法については、カスタマーゼロのグローバルチームの中に効果測定を専門に議論するチームがあり、そこで検討を進めています。
ITmedia デジタル戦略EXPO 2026 夏では、各分野の第一人者や企業の現場でビジネス変革に取り組むリーダーの声を通じて、経営×IT×現場のコラボレーションで全社変革を進めるヒントをお届けします。
AIを活用したデジタル戦略が必須となる中、ダイハツ工業や旭化成、NOT A HOTELなどビジネス変革に取り組む企業の「当事者の声」を通じて、現場のリアルな課題解決方法を探ります。視聴登録はこちらから。
AIが破壊するIT業界の“人月商売” 「SIerの死」後に“生き残る者”の正体
NEC森田社長が語る「脱・人月商売」の行方 組織の壁を破るAI人材育成法
なぜIT多重下請けは起こるのか? 日米“外注構造”とDXの違いから考える
製造現場の「AIアレルギー」をどう払拭? 日立・新卒デジタル人材「3カ月奮闘記」
「会議はまず笑わせろ」――28万人企業・日立副社長が明かす「逃げない」リーダー論
日立・阿部副社長に聞く“最高益”更新の舞台裏 巨額赤字から組織を復活させた変革とは?
日立が狙うフィジカルAI「20兆円市場」 Google Cloudとの連携で描く勝ち筋
YouTuber、コンサル、ビール醸造 日立の社員はどんな副業をしているのか?
日立が踏み出した「副業解禁」 “試行1年”で磨き上げた制度設計の「4つの承認基準」とは?Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング