セブンはなぜ苦戦するのか コンビニ王者を支えた「勝ちパターン」が曲がり角スピン経済の歩き方(3/6 ページ)

» 2026年08月05日 08時00分 公開
[窪田順生ITmedia]

「マルチフォーマット」の動きが加速

 実際、コンビニ市場に参入しようという「新参者」たちの動きを見ても、「ドミナントよりもマルチフォーマット」を強く感じる。

 例えば、ドン・キホーテはZ世代をターゲットにしたカラコンや化粧品、菓子などを中心に扱う「キラキラドンキ」を全国で8店舗を展開。大阪府内の3大学では、コンビニよりも小規模な無人店舗「キャンパスドンキ」も展開している。

2025年10月、宮城県仙台市にオープンした「キラキラドンキザ・モール仙台せんだい長町ながまち店」(出典:ドン・キホーテのプレスリリース

 専用アプリに登録すればレジに並ばずに買い物ができる利点のほか、小規模であることを生かして、利用者である学生にアンケートを実施し、品ぞろえを決めている。大学内のコンビニが抱える「レジ待ちの長さ」や「品ぞろえの課題」を解決している。

 「キャンパスドンキ」に慣れ親しんだ学生が社会に出たとき、職場が入るオフィスビルに「オフィスドンキ」ができていたら自然に受け入れるだろう。店舗数の拡大ではなく、顧客とのエンゲージメントを高めることでLTV(顧客生涯価値)の向上を目指す、新しい方向性を示す業態だ。

 このように「客」や「立地」に合わせて店舗フォーマットや品ぞろえを柔軟に変えていくマーケットインの発想は、ドミナント戦略とは対照的だ。

 「なにがあるかな、セブン-イレブン。」というCMのキャッチコピーが示すように、コンビニ側がマーケティング力を駆使して「客」がワクワクするものを先回りして開発。それを高密度な出店と高度な物流・流通システムによって広めることで、商圏内のブランド力やロイヤリティーを高めていく――。こうしたプロダクトアウト型の発想が、ドミナント戦略の根底にはあるのだ。

 では、マルチフォーマット戦略以外にはどんな戦い方があるのか。個人的には「ローカライズ戦略」ではないかと思っている。

 地域の風土や文化、客層を徹底的に調査したうえで、その土地の人々に愛される商品、サービスを提供する「地元色の強い個人商店的コンビニ」を目指していく戦略だ。

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