コラム
» 2007年11月13日 10時00分 公開

厚い壁に阻まれた? ZENIT-Eの修理-コデラ的-Slow-Life-

前回はロシアカメラの話で終始したが、今回はいよいよZENIT-Eの修理に入っていく。順調に分解が進むかに見えたが、固くて外れないネジが行く手を阻み……。

[小寺信良,ITmedia]

photo 一眼レフなのにセレンというズレ感がカッコいい

 前回はZENITについて書くつもりが、ロシアカメラの話から始めたらそこまでたどり着かなかった。改めてZENIT-Eである。

 普通一眼レフであればTTL、つまりレンズ内を通った光を測光して露出を決めるスタイルだが、ZENIT-Eの場合はレンジファインダと一眼レフのハイブリッドのような構造なので、セレン式の露出計が外部に付いている。

 そして左側のダイヤルを回して、露出計の針の振れたところに丸い印を合わせると、露出がわかるというわけだ。つまり露出計なしのカメラが露出計を背負ってるだけという構造である。この露出計のない廉価モデルが、ZENIT-Bという機種となる。


photo こぢんまりとしたシャッタースピードダイヤル

 シャッタースピードは、1/500秒〜1/30秒、あとはバルブである。スピードのセットは、ノブをいったん引っ張り上げて回す方式。EXAKTAやFED、ZORKIなど、この時代のカメラはみんなこうである。こぢんまりとしたダイヤルだが、周囲が広く空いているので、手袋のままでも操作できる。このあたりは、ソ連ならではの工夫なのかもしれない。

 ZENIT-Eは80年代前半まで作られたカメラではあるが、最高で1/500秒はさすがに時代遅れだ。明るいレンズならば、とても開放までは開けられないだろう。

 考えてみれば、前回のMAMIYA ZMが82年製なので、この両者が同じ時代に現行モデルとして売られていたわけである。共産圏という壁がいかに厚かったかという話だ。

 巻き上げレバーを回すと、内側のフィルムカウンターがグリグリっと逆向きに回るのも、メカニカルでいい感じだ。裏蓋を開けてシャッターを切ると「パカン」という情けない音がするが、蓋を閉じれば「スパッ」という、鋭い刃物で金属のエッジを刮ぐような音がする。なかなか気合いの入る音だ。

固くて外れないネジ――勇気ある撤退

 さてZENIT-Eの修理だが、幸いにして数の多いカメラだけあって、WEB上にも情報が潤沢にある。とりあえずは逆になった露出計周りを直さなければ、使いづらくていけない。


photo カップ状になったネジ。情報がなければまず開け方がわからないところだ

 巻き戻しノブを引っ張り出して、ネジを外していく。その外側のリング上のところは、実はカップ状のパーツになっていて、底の方にネジが切ってある。これをゴムを使って回していく。カメラ修理道具として、こういう引っかかりのないところを回すためのゴムのカップが、セットになって売ってるのである。正式な名前は何というのか知らないが。

 そこまで外れれば、あとは内リングと外リングを外すだけである。外リングの裏側には、露出計のマーカーを動かすレバーを押すための溝が付けてある。このレバーはバネ仕掛けになっていて、何にもしないと軸側に張り付いている。


photo リングの裏側にレバーを押す機構がはまっている

 このままの状態でリングをはめようとすると、絶対にはまらない。つまり逆向きのスカスカしたほうをあてがうことになる。これが間違いの始まりである。

 実はこういうものは、糸でレバーを引っ張っておいてリングをはめ込み、後で糸を抜き取るというようなことをしないと、はまらないものなのである。前の持ち主はおそらくそこまで気づかなかったので、そのままではまる逆向きにセットしたのだろう。ということは、このカメラは分解品の可能性が高い。


photo レバーを糸で引っ張っておいて、リングをはめ込む

 ここまで外したことだし、ついでに軍艦部を開けて内側からファインダの掃除でもしようかと思ったのだが、残念ながら巻き取りレバー側のリングネジが固くて外れない。シャッター周りのリング部分がネジになっていて、逆ネジだそうなのだが、ゴムリングを使っても開けられなかった。

 あんまり無茶なことをして壊してもしょうがないので、今回はここで早くも撤退である。順番にパーツを元に戻し、外装を掃除して完了とした。

小寺 信良

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映像系エンジニア/アナリスト。テレビ番組の編集者としてバラエティ、報道、コマーシャルなどを手がけたのち、CGアーティストとして独立。そのユニークな文章と鋭いツッコミが人気を博し、さまざまな媒体で執筆活動を行っている。最新著作はITmedia +D LifeStyleでのコラムをまとめた「メディア進化社会」(洋泉社 amazonで購入)。


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